“レジェンド・オブ・レジェンド” トニー・ホークが昨年の大怪我からの回復を報告 「60歳でまだバックフリップができたら誇らしいよ」

昨年2022年3月に大腿骨骨折が発覚したTony Hawk(トニー・ホーク)。当初は本人も怪我の実態を把握できておらず、無理をしているうちに回復と悪化を繰り返し、調子が上向かないままだった。そんなレジェンドをファンも心配していたが、最近ようやく滑れるまでに回復してきたようだ。先日、NY出身のプロスケーターFraink Gerwer(フランク・ガーワー)の電話取材に出演し、再び滑れるようになった喜びを話してくれた。

「やあ、調子はどう? トニー」というフランクからの着信を受けて「やあ、結構いいよ。足の調子はだいぶ良くなってきたし」と明るい声のホーク。

「最初、ボードを降りてパイプのデッキに着地したときに、骨がずれる感じがしたんだよ。おかしいなと思いながらもその後、衝撃の度にどんどん外れて行ったんだ。だけど医者は“時間が経てば戻りますよ”なんて言うだけでね。一向に良くならないまま9カ月経ったあたりで“あ、これはほっといてももとに戻らないぞ”って自分でようやく思った(笑)なんていうか、もしランプに向かっている時によろついていて、戻ってくるときにもよろついてたら、絶対に何か問題があるってことだよね」とその異常を語る。

本人曰く「20年ぶりの大怪我」だったようで、スケーターならば一番使う箇所を思うようにコントロールできなければトリックやランプやパイプはおろか、滑るのも困難だったろう。しかし最初は怪我の実態がわからないまま、無理して滑っていたのだという。しかし調子は一向に戻らず、「さすがにこれでは治るものも治らない」と慎重にリハビリに努めたところ、だいぶ滑れるまでになったそうだ。

「骨がもとに戻ってからは本当に別世界のようだよ。もう一度自分の足を信頼して滑れるようになってからは“ああ、そうだった、こんな感じだよな”って感じ」と、しみじみ滑れる喜びを実感している。これまでにないほどの長いブランクを経ただけに、なおさら新鮮な喜びを感じているのではないだろうか。

その後インタビューははQ&Aコーナーに。「最近はちゃんとした朝食を食べてる?」という質問にホークは「ちゃんとした朝食がどんなものか、もはやわからないけどヨーグルトとコーンフレークばかり食べてるよ。あと、娘から半分くすねたブルーベリー・マフィンを食べたかな」とほっこりエピソードもシェア。

そして「60までの人生の目標は?」との質問にホークは「もし60歳でまだバックフリップができたら本当に自分を誇らしく思えると思うよ」と答えている。そして「今はまだ余裕でできるからね、特に考えることもなくやってるけど、それくらいの年になったらもう少し躊躇したり“これをしくじったらえらいことになるぞ”とか色々よぎると思うんだ。それでも60歳でバックフリップできたら、“俺って結構やるべきことやってきたんだな”って実感できるような気がする」と未来を予想する。

“レジェンド・オブ・レジェンド”たるトニー・ホークですら、一人の生粋のスケーターなのだ。ファンやチャリティのために自分の使用デッキをどんどんあげてしまうらしく、今も毎週のように新しいセットアップで滑っているそうだ。取材にも気楽に応じるなど、クールながら気さくな人柄で知られるだけに、怪我からの回復はファンにとっても嬉しい報せ。スケートの歴史にとっても、スケートの未来にとってもまだまだ必要な存在である“バードマン”トニー・ホークの100%の復活を願って、もうしばらく待っていよう。

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