2004年のアテネ五輪、2006年の世界選手権と2大会連続で3位に甘んじたバスケットアメリカ代表。常に優勝が求められるアメリカ代表にとっては異常事態であった。そこでアメリカは金メダルを奪還するべく“Redeem Team(リディームチーム:(王者)奪還をミッションとしたチーム)”を結成した。
当時NBAを賑わせていたレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、カーメロ・アンソニー、クリス・ボッシュの2004年ドラフト組やクリス・ポール、ドワイト・ハワードらの若手らが中心のチームに、“優勝請負人”として招集されたのがリーグNo.1プレイヤーのコービー・ブライアントだ。しかし、当時コービーの“チームプレイヤー”としての能力、資質は疑問視されていた。所属のロサンゼルス・レイカーズではコービーはNBA1の得点を取るもののチームはまったく勝てないという状況。そのため、セルフィッシュ(自己中心的な選手)と言われ、ついにはチームにトレード志願(その後すぐに撤回)を行ったほど迷走していた。そんななかコービーがアメリカ代表の話を引き受けたのは、“自身”を取り巻く環境を一新したかった、そんな思いがあったのかもしれない。そして、このオリンピックが終わると、コービーの評価は“ガラッと”変わることになる。
やはり、最初のコービーの印象は良くなかったそうだ。チームメイトからは“一匹狼”で打ち解けようとしない。コービー自身もチームの輪に入ろうとはせず、実際にミーティングは一人で席に座っていたという。でも、彼は“マンバ・メンタリティ”と例えられるバスケに取り組む姿勢で語るタイプだった。
ラスベガスの合宿中のある日、チームUSAの面々は夜中までクラブで遊んでいた。1カ月ホテルに箱詰め状態のなか、久々にエンジョイをしてしまい時刻は朝の4~5時に。翌日の練習も控えているためホテルに戻ると、ひとり練習着姿のコービーが。チームメイト達がコービーに「何をしているんだ?」と聞くと、「ジムに行く」と言った。さらに、その姿はすでに汗だくで、まだ練習を行うということだった。チームメイト達が遊んでいるなか、ひとりチームのために自分ができることを実行した。こういった愚直な努力がコービーのやり方だ。
そして、その姿を見た何人かのチームメイトたちも翌日から朝の練習を開始。次第にその流れはチームに広がり、チーム全員が同じことにやるようになったそうだ(カーメロだけは、「俺は朝5時は無理だ」と言っていたそうだ笑)。
『優れた人物は組織の習慣を作る』という格言ではないが、コービーはチームUSA(リディーム・チーム)に、勝つためのプロ意識を植え付けたのだ。
もちろん、コービーのプロ意識はコート上でも表れた。北京オリンピック、予選ラウンドの対スペイン戦。相手にはレイカーズのチームメイト、パウ・ガソルがいた。彼らはチームの中心で仲が良い。しかもガソルが来てからチームが明らかに勝ち始め、コービーは手応えを感じていた。試合前、コービーはガソルはじめ、スペイン代表に挨拶に行った。やはり仲のいいチームメイトの前では、コービーも人の子であった……、いや真実は違ったそうだ。
ガソル曰く「僕の緊張を和らげる作戦」だったと。チームUSAのロッカーに戻ったコービーは「俺が試合開始直後に流れを作る」と宣言、チームメイトが「なにをする気だ!?」と聞くと「パウの胸に目がけて突進する」と一言。その言葉通り、コービーは最初のプレイでガソルに思いっきり突進してはっ倒したのだ! コート上、いや会場全体が目を疑うほどの光景だったが、これはコービーからのチームUSAに対する「相手が誰であろうと、勝たなければならない」という強いメッセージだったのだ。
こういったコービー独特のリーダーシップにより、アテネ五輪の因縁の相手アルゼンチン、世界2位のスペインと強敵を次々と破り、金メダルを取り戻したアメリカ代表。そして、コービーは最終的にはチームメイトたちと良好な関係を作り上げ、自身の評価を覆し、翌年からNBA2連覇を達成することになる。
チームUSAの逆襲を追ったドキュメンタリー『リディームチーム:王座奪還への道』はNetflixで独占配信中。
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