続編はありえる。劇中で死んでないから(笑) 死んでても作れるけど !|『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』谷垣健治 #3

“銀河系最強の男”ドニー・イェンが『燃えよデブゴン』の名を冠したアクショ ンコメディに挑戦!メガホンを取ったのは、日本が世界に誇るアクション監督・谷垣健治!!現代アクション映画シーンの最高最強タッグが贈る映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』が遂に日本上陸。世界の全アクション映画 ファンが心待ちにしていた中、2021年1月1日公開決定。正月から景気がいいぞ!超多忙の中、谷垣監督がインタビューに応じてくれた。

―本作のアクションについてお聞きしたいことが山ほどあるんですが、あのファットスーツはどれくらいの重量があるんでしょうか?

10キロぐらいかな?結構重たかったと思います。それと特殊メイクがね、だんだん汗が溜まってくるし、崩れてくるので7時間しか保たないんですよ。

―エンドロールでもかなり大変そうな特殊メイクの様子が流れますよね。

ひたすら不機嫌な感じのドニー。怒ってるというよりは“無”ですね(笑)。

―そんなスーツを着てのアクションと、通常のアクションで大きな違いは?

違いは出してないです。

―えっ!?

もちろん太った後はちょっとだけ重みのあるパンチを、とかっていう風にはなってますけど、“太ったから動きを鈍くする”っていう、まあ通常誰もが考え そうな設定をもう全部やめたっていうか。
つまり太った人をバカにするような描き方じゃなくて、普通にカッコ良く撮ろうと。まさに「太ってても最強!」 ということです。最初にドニーが「なんで太る必要があるんだ?」ってことをすごく言っていて、その理由づけをしっかりして欲しいと。まあ「面白いからに決まってるじゃん」ってことなんだけど。

―笑!

最初は“太ったドニーが面白い”っていう発想だけで突っ走ってたんだけど、映画の最後に痩せた方がいいか太ったままがいいか?っていう議論もあるわけですよ。これが20年前ならジョニー・トーの『ダイエット・ラブ』(2001年) みたいに、痩せてめでたしめでたしになるじゃないですか。
でも、ドニーの奥さんで本作にもプロデューサーとして関わってるセシリア・ワンが、「太ったままじゃいけないの?最後に痩せてよかったね、では世界中の太った人を敵に回す」と。ド正論です。だから“太っていてもカッコいいものはカッコいい”っていう風に途中で舵を切ったというか。

―そのメッセージが最後のセリフにも出てきますね。

そうです!30年前にはOKだったことが、いまでは通用しない場合は多々あるじゃないですか。『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)のクリス・ヘムズワースもインタビューでは「太っても一人の人間として魅力的であるということが大事」って言ってたような気がするし。
僕としても「太ってるから、さらにカッコいい」のほうが良いわけです。当時サモハンが『デブゴン』で見せたアクションも、彼は“太ってて可笑しなことやってる”というものはひとつもないんですよ。ジャッキーには笑いを取るような部分もあるけど、実はサモハンってそういうことは何もやってない。カッコいいアクションなんですよ。

―そう言われてみると、確かに。

ただ人より少し太ってるというだけで、“心はドラゴン”なので。

―サモハン自身が見た目のことを気にしている感じは一切ないですよね。

むしろ「俺、太ってる?」って感じですよね。

―でも今回、ドニーがあのスーツを着てあれだけ動けるということに、引くぐらい驚きました。やっぱりすごいなと。

例えば普通の体型の人がブルース・リーの真似をすることで出る“パクり感” が、ファットスーツ=太った男っていうレイヤーをひとつ入れることで、少しだけ違う見方ができるんじゃないかなと思ってね。ブルース・リーっぽいのに重厚ですばしっこいっていうね。それにしてもあのファットスーツ、相当動き にくくなるんですよ。あれはお尻も含め可動部に影響してくるから、やっぱり動くたびにちょっとズレたりもするじゃないですか。それが結構大変で、本人はストレスだったと思いますね。

―ドニーがアクションコメディに出るのは本作が初になるんでしょうか?

実はデビューの時にブレイクダンスを活かした作品をやったりはしてるんですけどね。ただ、元からコメディ感のある人ではあるじゃないですか、存在自体が(笑)。ドニーにしてみたら『イップ・マン』のフランチャイズをやり、「ローグ・ワン」でも世界中に認識された。でも世間はまだオレの全てをわかっ ているわけではない!次はここれだ、コメディだ!オレの役者としてのレンジを見せたい!ってのは当然わかる気はしますよね。

―では今後、ドニーが本作のようなアクションコメディに積極的に出ていく可能性も?

チョイスの一つとしてはあるけども、その路線を突っ走ることはないでしょうね(笑)。

―ただ本作によって、選択肢がちょっと広がったと。

そうですね、つまり役者としての幅。あと、これからの役者としてのポテンシャルを見せたいっていう思いはすごくあると思う。やっぱり体力は年々落ち ていくかもしれないけど、芝居の方は本質的に続けてさえいれば上手くなっていく一方じゃないですか。その中でいろんな役をやれる役者になりたいと。それで、いつかまた『ロッキー』シリーズのように、また『イップ・マン』の続編をやります、っていう。

―それは期待しまいますね!でも今回びっくりしたのはね、撮影直前になって「良いアイデアがある。“太らない”ってのはどうだ?」って。

―(爆笑)。

「つまり『大福星』(1985)みたいな作品を撮るとして、そしたら俺はジャッキー役で、刑事をやる。あと5人おかしな奴がいて面白いことやる。それでい い!」って。いや、それ絶対キツい特殊メイクしたくないってだけじゃん!(笑)。

―それはそれで観たいですが(笑)。

そこで「普通のドニーが東京へ行って、悪い人をやっつけました。太ったドニーが東京へ行って、悪い人をやっつけました。どっちが面白くなりますか?どっちがフックになりますか?」って言ったら「わかったよ…」って。だから全く違う映画ができる可能性もあった(笑)。

―それに続編も作れるじゃないですか、このフォーマットだと。

ミッション変えればいいだけだからね。でも当時の『燃えデブ』シリーズの宣伝からして「今回は◯◯にて……」とかって、さも続編であるかのように謳ってた (笑)。

―ではドニー版に関しては、続編も全然ありえますか?

全然あり得ますね。劇中で死んでないから(笑)。死んでても作れるけど。

―本作は谷垣さんの本格的な初監督作品ということでも話題ですが。

この規模では、そうですね。

―今後も監督業を積極的に続けていくのか、具体的に撮りたい作品があるのか等、ファンは気になるところだと思います。

まあ今回も「俺、監督やりまーす!」って手を挙げたわけじゃないんですよ (笑)。やっぱり本質のところではドニーが真の監督であり、アクション監督 であり、全てのことがドニーの意図っていうのが大事であって、それを僕が一番理解できたっていうことで。もちろんアクションも大内くんがやってるか ら、魚市場のシーンなんてちょっと『ハイロー』感あるでしょ(笑)。

―笑!

そういうことで言うと、ドニーを理解してる人たちが優しい気持ちで映画を作る、っていうことなんですね。

―なるほど。では谷垣さんの次回監督作に期待しつつ、ドニーの動向を見守るということで。

もちろんいくつか(監督作の候補が)あることはあるんだけど、ただやっぱり監督をやるっていうのは時間がすごくかかる作業だから。
アクション監督もやりつつ、あまりスタンスは変わらないですけどね。でも『るろ剣』的なアクションは、今回の2本でやりきったんで、ちょっと卒業です。全く違う方向の作品をやりたいですね。

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『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』は2021年1月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開

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