アクション映画とコメディ映画の神様が助けてくれた|『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』谷垣健治 #2

“銀河系最強の男”ドニー・イェンが『燃えよデブゴン』の名を冠したアクショ ンコメディに挑戦!メガホンを取ったのは、日本が世界に誇るアクション監督・谷垣健治!!現代アクション映画シーンの最高最強タッグが贈る映画『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』が遂に日本上陸。世界の全アクション映画 ファンが心待ちにしていた中、2021年1月1日公開決定。正月から景気がいいぞ!超多忙の中、谷垣監督がインタビューに応じてくれた。

―本作にはアフレコのシーンもありますよね?

一応現場でも(音声を)撮ってますけど、全部アフレコしました。やっぱりね、 香港映画らしく音をパリッとさせたくて。98%はアフレコですね。

―それもあって、往年の香港映画のような雰囲気を感じました。

そうそう、それも一因かもしれないですね。

―それによって“ドタバタ感”とか「しょうもないコメディだな〜」っていう空気が醸成されますよね

はいはい(笑)、つまり、それによってルールが設けられるわけですよね。「みなさん、こういうことなんでよろしくね」っていう。竹中さんとかは、アフレコでセリフが全部変わってるんですよ。なぜかって言うと、やっぱりシーンを組み替えたりとか色んなことをやってるうちに、「これ、アフレコでこうこうこういうセリフ言ってもらわないとストーリーつながんないだろ」っていうところがいっぱい出てくる。

―あのブツクサ言っているシーンなどもアフレコですか?

そう。竹中さんがドニーと最後に向き合うシーンなんかは、現場では「俺はもう 来週にはなぁ、刑事を辞めてハリウッドに行くんだ!それで『怒りの鉄拳』を自分で撮って、バカな日本人と中国人をみんなやっつけるんだ!」「こんな風にな!アター!!」って演技してくれていたんです。それが現場で撮影していくうちに、どうもそういう話じゃなくなってきた。

―笑!

それで、竹中さん演じる遠藤刑事がどういう意図で動いていたのかを最後に言わせなきゃいけなくなって、分かりやすいセリフに変えて。「なんだお前、ブルー ス・リー気取りやがって!ブルース・リーって知ってっか!?こうやるんだ!!」みたいなセリフを全部アフレコで言ってもらったんです。再構築の再構築。

―『SPL/狼よ静かに死ね』(2005)のセルフパロディも衝撃的でした。

あのパロディは1年経ってから追加撮影しました。最初はセリフだけのやりとりだったんだけど、ドニーが「やっぱり画を入れなきゃダメだ」って言って。

―あのシーンは、当時の映像を使ってるんじゃないかと思うほどの再現度でした。

『導火線 FLASH POINT』(2007)は映像を貸してくれたんですよ。でも 『SPL』の権利は事情があって貸してもらえずで。

―そうだったんですね笑!

権利がよくわかんないから『SPL2』とか『3』が勝手に作られるっていうね。

―そういえば続編、作られてましたね!!

そうなんですよ。だから当時のロケ地に行って、そのままのショットで。でもウー・ジンはもう雇えないから、同じ白い服を着てるけど実は……っていう設定にして。

―過去の代表作のシーンを挿入しようというアイデアもドニーが?

撮影中、“金髪の武術チャンピオン”みたいな明らかに「SPL 狼よ静かに死ね」の中のセリフを彷彿とさせる部分が出てきたから、聞く人が聞いたらクスッと笑えるんだけど、「それは画で説明しないと親切じゃない」ってドニーが言い出して、ウォン・ジンが「じゃあ権利元に確認してみるわ」って聞いてくれた。『導火線』の方は『イップ・マン 完結』(2019年)と同じ会社だから、それはタダで協力しますよね。

―すごいエピソードですね……。

『SPL』はもう権利元がよくわかんないってなったとき、ドニーもウォン・ジンも 「じゃ、撮るか!」ってなったの。それがやっぱりすごいなぁって。日本映画みたいにアニメで説明、とかにはならない。

―ウォン・ジンの名前が出たのでお聞きしたいんですが、日本の映画ファンはあまり彼について知らないと思うんですよ。

香港のバカバカしいコメディをず〜っとやってきた人ですよ。だから本作は、アクション映画の神様とコメディ映画の神様がサポートしてくれた、ってことなんです。で、ウォン・ジンがちょっと下品なアイデアを出すとドニーが全部それを却下していくという(笑)。 『シティーハンター』(1993)を撮っていた時代とは違うんだぞ、と。

―でもウォン・ジンさん、役者としてもいいお顔ですよね。

たまには役者もやるんですけどね。今回演じたシウサー役も、みんなで「すごい!なんか『俺たちの旅』の中村雅俊みたい!」なんて言って、その気にさせましたよ(笑)。最後の包丁を持つところも「高倉健かと思った!」とか言って。

―(笑)。それでいて基本的なアクションもできてしまうのがすごいなと。

彼の中にイメージはありますからね。いつも出てきてはバカなことやって、楽屋オチみたいな感じで笑いを取る人なんだけど、今回は「それはこの映画にはいらない」ってドニーが言って。いつものウォン・ジンだと「またなんか出たがりがやってるよ」みたいに思われてしまうから、今回はもうちょっと誠実な感じでやった方がいい、と。相手役のテレサ・モウは香港のオスカー(香港電影金像奨)とか獲ってる女優さんだから芝居もしっかりしてるんだけど、やっぱりウォン・ジンとは一緒にやることに戸惑ってた。つまり「プロの俳優とはいえない彼を相手にどうやって芝居したらいいかわからない」と。

彼女はアフレコも本当にうまかったです。すごく真面目だから役作りに関しても 色々と聞いてくるんだけど、僕もそこまで考えてないから「とりあえずやってみてもらって、変だったら言いますんで!」っていう感じで対応してました(笑)。

―モウさんは存在感がすごかったです。

そうなんですよ。あと子役のChaney Linには「とりあえず憧れのドニーを見てればいいから」って(笑)。彼に小芝居させるよりは、ドニーを見ていてくれればそれがリアルに見えるんじゃないかと。

―彼も中国のテコンドー代表とのことで、動きのキレがハンパじゃないですもんね。

ハンパじゃないですね。彼のお父さんがやってるんだけど、あそこのチームはすごいですね。今はドニーの事務所に入ってますね。だから『スーパーティーチャー』では子ども時代のドニーを演じていました。

―彼らに限らず、日本ではあまり知られていない“イイ顔”の俳優たちがたくさん出演していますよね。

特に最初の香港のパートでは、正月映画っていう気分でいろんなゲストをどんどん投入してるんですよ。

―あの署長役のアンソニー・チャンさんはかなり有名な……

彼は『ファースト・ミッション』(1985)でサモハンをいじめてた家庭教師の役とかをやってた人で。もともとアラン・タムとかがやってたザ・ウィナーズってい うバンドのドラムをやってて……だから岸部シロー!

―香港の岸部シロー!(爆笑)。だからイイ顔してるんですね!

ザ・タイガースの岸部シローとザ・ウィナーズのアンソニー・チャン、と思ってもらえればいいんで(笑)。それと冒頭のシーンで駐禁のキップを切るウォン・チョーラムも、いま中国と香港で一番売れてる人で。とりあえずあの人が出てきただけで、みんな笑うからね。半日で結構なギャラ持っていきましたよ(笑)。だから、もうとにかくいろんな人をどんどん入れてる感じがあります。まず最初の10分ぐらいでこういうサービスをして、アクションが始まったらもう……っていう感じ。

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『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』は2021年1月1日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国公開

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