“私たちはスクリーンに縛られている” アーティストSpYによるアート作品『モノリス』が話題に

スペイン人アーティスト SpYによるアート作品『MONOLITH(モノリス)』が話題となっている。

これはスペイン・バルセロナのフェスティバル<Llum BCN Festival 2023>で披露されたコンセプチュアルインスタレーションで、Stanley Kubrick(スタンリー・キューブリック)監督による映画『2001年宇宙の旅』(1968年)へのオマージュが込められているという。同映画に登場する石柱状の謎の物体“モノリス”から想を得ており、映画の中のモノリスと、スマートフォンの画面など私たちを日常的に取り囲む“スクリーン(画面)”の関係性を比喩として表現している。

多くの来場者を集めたこの作品についてSpYは次のように語っている。「私たちは絶え間なく更新を続けるスクリーンを前に身動きも取れません。スクリーンによって私たちはあらゆるものにアクセスすることができますが、同時にスクリーンによって私たちは縛られているのです」

確かにスクリーンは私たちの生活に染み付いているだけでなく、一人一人のアイデンティティを作り上げ、現実の概念を修正するようになった。SpYは今回のインスタレーションを通して、この新しい常識と私たちのパーソナルデータに対するコントロールの欠如に疑問を投げかけていると言えよう。

「人間がデータになる時代がすでに到来しているのか? 身体とデバイスの統合にどう向き合うのか? 我々はデジタル変換されない最後の世代の人間なのだろうか?」とSpYは展示に訪れた人々に問いかけている。

SpYのコンテクスチュアルアートプロジェクトは、アーバンアートからパブリックアートに向かう進化の中でも最も独創的で話題性の高い試みのひとつだ。彼はそのキャリアを通じて、世界のあちこちで制作される野心的でインパクトのある大規模なインスタレーションをますます壮大な作品群へと発展させている。

SpYは昨年10月にはエジプトで開催されたアートフェス<Art D’Egypt>でギザのピラミッドをバックにメタリックな球体作品『ORB』を発表し、こちらも大きな話題となっていた。

TAGS