愛を感じられる場所であり、タフな街 ロンドンのスケートカルチャーの素顔

Red Bull(レッドブル)が各地のスケートカルチャーを紹介する「GREETINGS FROM」シリーズより、ロンドン編が公開されている。

街の各地に点在するスケートスポットを訪ね、スケーターたちに地元スケート文化について語ってもらい、その土地土地の知られざる面まで垣間見せてくれるのが魅力のこのシリーズ。ストリートの日常に浸ってみないとなかなか実感できない、歴史ある大都市の素顔が浮き彫りになっていく。

登場するスケーターたちが口々に言うのは、ロンドンの広さと多様性だ。なので街に対する印象や実感も様々だ。ある者にとっては愛を感じられる場所であり、ある者にとってはタフな街だったりする。それがロンドンという街のストリートなのだろう。

「まず広大だよね」
「あちこちに小さなスポットがあって、いろんなやり方があって。みんなそれぞれにスケートテク磨くんだけど、最終的には大きな集合になる感じ」
「多様性がすごい。いろんなジェンダー、背景の人がいる」
「私にとって、ロンドンほど愛を感じられる街はないよ」
「スケートするのには決して簡単な場所じゃあないけどね」
「ロンドンはイギリスの首都なわけだけど、興味深いのは、元々アメリカで生まれたスケートボードがこっちに入ってきてからというもの、街の各地それぞれで独自に発展していったところだ。例えばサウスバンクとかで」

ということでここからはロンドンのスケートスポット紹介だ。

South Bank(サウス・バンク)

『サウス・バンク』は、ロンドンで最も古くにスケートカルチャーが根付いた土地だ。壁面や天井いっぱいに描かれたグラフィティがその歴史を物語っており、“ヨーロッパのスケートボードのメッカ”とも言える。ロンドンのスケートシーンの原点がここにある。

St. Paul’s(セントポール教会)

そのサウスバンクからテムズ川を挟んで対岸に位置するのが金融街の中にある『セントポール教会』だ。このエリアには階段も階段もレールも数多くある。ヴィクトリア朝の建築様式と高層ビルが混在するこの地域は、週替わりみたいに常に新しいスポットが生まれる。今も絶えず変化を続けるストリートだ。

Victoria Park(ヴィクトリア・パーク)

「個人的に北部でフェイバリットなのは、『ヴィクトリア・パーク』かな」と語るのは、「Lovenskate」の代表Stu Smith(スチュ・スミス)。「みんな大切に扱ってるというのもあるし、池や白鳥がいて、美しい緑に囲まれた立地が魅力的だ」という紹介通り、なんとも気持ちの良いパークである。さらにここは、イギリス最高のスケーターとも称されたBen Raemers(ベン・レイマーズ)ゆかりのパークでもある。2019年にこの世を去ったベンの記憶や足跡をたずねて訪れるスケーターも多い。その存在が感じられるこの場所では「メンタルヘルスについて話したり、『オープンになっていいんだ』って思えるんだ」と言う。ベンの庇護の下、キッズたちが悩みや孤独を持ち寄って集まれる場所でもあるのだ。

The Grove DIY(グローヴ・DIY)

『グローヴ・DIY』は、ロンドンのだいぶ南に位置するDIYパークで、閉店したパブ「The Globe Tavern(グローヴ・タヴァーン)」の持て余した駐車スペースを利用した、まさに手作り感満載のパークだ。2020年に有志で工事が始められ、スケーターたちがコロナのロックダウンによって徐々に行き場をなくしていく中、自然と完成したというこのパーク。パンデミックの最中、まるで最後の楽園のような存在となった。いずれは行政によって取り壊される予定で、そのことは承知で始めたらしいが、取り壊しの日はまだ訪れていない。しかし「もしそのときが来たら、このパークの日々が人生最高のときだったってことを、僕は忘れないよ」とビルダーの一人は言う。

Meanwhile Skate Park(ミーンワイル・スケートパーク)

北西部の『ミーンワイル・スケートパーク』は、昔ながらのタフでラフなパークの様相だ。高架下というコテコテのロケーション、そこら中に描かれたグラフィティ。まさにストリートのパークそのものだ。今やロンドンを代表するスケーターの一人、Jamie Foy(ジェイミー・フォイ)も少年の頃からここで技を覚え、ここから外のもっと大きなレールやステップに挑戦し始めた。憧れのスケーターたちから学んで、テクニックを磨いたのがこのパークだと言う。

BAY SIXTY 6

『BAY SIXTY 6』は、ノッティングヒルにあるスケート施設。当初は「PlayStation Skatepark」という名前で、SONYの出資で始まったパークだが、X BOXに経営が移譲されて『BAY SIXTY 6』に名称が変更、2011年にNIKE SB(ナイキ SB)が整備して現在の形になった。大規模で、レンタルやレッスンもあるこのパークはストリートの延長というより、れっきとした施設だ。キッズたちも安心して滑れるし、ここからキャリアを始めるスケーターも多い。
設立したのは、このロンドンでスケートを始めた第一世代で、その愛情と眼差しが生きている場所である。これだけ立派でスケールの大きいパークはなかなか無いし、雨天でも滑れることも大きい。先のジェイミー・フォイも日常的に顔を出すなど、ヒーローたちとキッズの交流の場にもなっているパークだ。

このように数多くのスポットが存在するが、女性で構成されたチーム「Girls Can’t Skate Crew」の設立者、ケリー・シンプソンは、「ロンドンで女性がスケートすることは以前は本当に難しかった」と当時を振り返る。そもそも人数が少なく、コミュニティは存在していなかったのだ。それが今や、彼女らを筆頭に多くの女性スケーターたちが活躍するようになっている。今となっては「ロンドンほど(スケート)愛を感じられる街はない」と胸を張るケリー。そして「その日のパークでベストなスケーターも、全然ヘタでビリッケツのスケーターも、みんな同等に扱ってくれるんだから」とも。

先のスチュ・スミスはロンドンのスケートシーンについて「みんなそれぞれの場所でなんとなく固まっている感はある」と評する。「でも、それぞれの存在は互いに知っていて、いざ各地に赴いて滑ると、結局良い出会いが待ってる。そんな感じなんじゃないかな」と付け加えた。

ある者はロンドンのスケート・シーンを「活気、寛容、無二」と表現し、ある者は「ラフでタフで、グレイト」だと言う。各地のスポットがそれぞれ違うように、スケーターたちもそれぞれ多様にこの街のストリートを呼吸しているのだ。

「この街にはグレイトなスポットがたくさんあるし、常に変化している。スケーターたちにとっては最高の場所だと思うよ」とスチュ。グローヴ・DIYを作ったうちの一人の青年も「良いスポットがたくさんあるし、そこではいつだって素晴らしい出会いがあるから」と語る。多様性と共にある、スケートの街ロンドン。その魅力はいつまでも尽きることはなさそうだ。

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