女王の帰還 ニッキー・ミナージュ、『Ruby Red da Sleeze』は新キャラ“レッド・ルビー”で登場

Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)が、待望の新シングル「Ruby Red da Sleeze」をリリースした。

Lumidee(ルミディー)2003年のヒット「Never Leave You(Uh Ooh, Uh Oooh)」をサンプリングし、2002年に以降に流行したDiwali Riddimに乗せてラップしたこの新曲。「ワルいギャルは死なない」「ワルいギャルは誰からも逃げない」「ルードなアイツは私に触って欲しがってるけど/私をディスったら最後/でももし私に会いたくなったらどうすればいいか知ってるでしょ」と歌われ、まるで“女王の帰還”とばかりに宣言している。

最後には、サンプリングされたルミディーの原曲からの「私にここにいてほしいなら/私はどこへも行かない」というリフレインが繰り返され、“玉座はしばらくは譲らない”と念を押しているかのようだ。

併せて新キャラ“レッド・ルビー”のイメージも公開。赤いチャイナ・ドレスが鮮烈な新イメージで、リリック中には「この春麗ワナビーども」というリリックも登場するなど、アジアン・テイストな新キャラだ。実はデビューの際もキャラ設定(アルター・エゴ)をしていたニッキー。当時よく比較されたエミネムの“スリム・シェイディ”も同様だが、フィクションのキャラに表現させることでクリエイティブな自由を得たり、作品の可能性を広げるために有効な方法だ。

幼少の頃から両親とのトラブルから逃れるため空想世界に浸っていたと過去にも話していたニッキーだが、デビュー後もイメージをどんどん更新したり、架空のキャラを主人公にコンセプト・アルバムを作るのはお得意の方法。なので今回の新オルター・エゴ設定も、なおさら5枚目となる新アルバムへの期待が膨らむものになっている。

さて、15年以上ものキャリアを誇るニッキーだが、その間にかなり状況は変わった。最後のアルバムも5年近く前で、その間にもシーンはどんどんと進化し、歴史上最も多くの女性ラッパーがチャートを賑わせている時代になった。しかし、ある意味ニッキー・ミナージュこそ“クイーン”。

カーディ・Bのような歯に衣着せぬ物言いやアティチュード、ビッチ上等な物腰もニッキーがオリジナルであるとも言えるし、ニッキーがいなければシーンがこれだけ多様化したり、女性ラッパーが増えることもなかっただろう。発展していたとしても、もっと時間がかかっていたはずで、それは多くのラッパーたちも認めるところだろう。今や、彼女が築いた礎が大きなシーンへと拡大し、やっと元祖“姐さん”の椅子が完成し、主人を待っているかのようなシチュエーションである。

なのでコメント欄も「ニッキーこそが史上最高。スタイルとフロウは誰にも真似できない」「女性ラップを再定義した。彼女こそ全てのチャートでトップにいるべきだし、今こそあらゆる賞にふさわしい」「ラップの女王!」「なんというレジェンドだろう、16年経っても輝きが失せない!」「いまだに尖ったラインがいっぱい」「絶対にわたしたちを失望させないよね」など、シーンへのカムバックを望む熱い声が並んでいる。

以前インタビューで「いつとはまだ言えないけど、5枚目のアルバムをリリースする予定」だと話していたニッキー・ミナージュ。とうに“機は熟した”といえる頃合いで、いよいよ本格的に前線に踊り出す予感がする。女性ラッパーのオリジネイターの一人として、今も鋭いラインを世界に向けて放てることを証明するだけでなく、見せつけてもらいたい。

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