“ヒップホップ最重要プロデューサー”メトロ・ブーミン、『スパイダーマン:スパイダーバース』最新作の音楽を手がける

2023年の公開を控えているアニメーション映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の予告編が公開され、音楽をMetro Boomin(メトロ・ブーミン)が全面的に手がけていることも判明した。ここ数年のヒップホップ最重要プロデューサーとも言えるブーミンの参加は話題を呼んでいる。

前作『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018年)がアカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞し、話題になりながらも公開延期となっていた待望のシリーズ最新作だ。映画のプロデューサー陣曰く、サウンドトラックは前作に引き続き主人公・マイルスがいつも聞いている音楽、というコンセプトで制作されているとのこと。

しかし音楽担当の人選はかなりシビア。というのも、前作『スパイダーマン:スパイダーバース』でフィーチャーされたポスト・マローン&スウェイ・リーによる「Sunflower」が超特大ヒットを記録しており、シリーズの音楽となるとハードルが上がりまくっていたからだ。Billboard Hot 100でNo.1、英国でもシングルチャートNo.1、さらにRIAA(アメリカ・レコード協会)からトリプルプラチナム認証まで獲得し、世界的な人気曲となっている。マイルスがこれを口ずさむシーンは、作中でも最も印象的な場面の一つ。マイルスの暮らしやコミュニティを表現しながら、大ヒットを記録したこの曲はシリーズの象徴のようにもなったわけだ。

ハードルが上がりまくった続編のサウンドを仕切る人選に、白羽の矢が立ったのがメトロ・ブーミンというわけである。ブーミンは2017年の雑誌「フォーブス」で【世界で最も需要のあるヒットメーカー】として取り上げられるほど、近年のポピュラー音楽おいて“間違いない”存在の一人。映画のプロデューサーも「今回はあのメトロ・ブーミンに依頼している。マイルスが体験していることをリアルに表現できる人がいるとしたら、彼しかいませんからね」と全面的に信頼を寄せているようだ。

さて、今回の抜擢にはブーミンの実績だけでなく、兼ねてからコミックやアニメ、とりわけヒーローものをコンセプトに据えた作品をリリースしてきたことが大きい。昨年12月に自身の名を冠した2作目「Heroes & Villains」をリリースしたばかりだが、これもスーパーヒーローをコンセプトにしている。自身がスーパーヒーローになりきり、“嵐が迫っている……何年もの間、容赦ない悪からこのまちを守ってきたメトロ・ブーミン……”というモーガン・フリーマン御仁によるナレーションで始まるクリップは当然のように話題になった。

この最新作に先立つこと2018年にリリースされたソロデビューアルバム『Not All Heroes Wear Capes』もタイトルからしてヒーローへのオマージュだった。本来は“全てのヒーローがマントを着ているとは限らない”、つまり、“例えスーパー・ヒーローではない一般人でも英雄になれる”という意味のことわざだが、ヒップホップ・プロデューサーやラッパーをヒーローに準えているのだろう。ひねりの効いたタイトルである。

各トラックにはTravis Scott(トラヴィス・スコット)、21 Savage(21サヴェージ)、Gunna(ガンナ)、Offset(オフセット)ら豪華メンツを迎えており、ブーミンの世界観が存分に展開されていたが、この最新作「Heroes & Villains」でも先の面々に加えてJohn Legend(ジョン・レジェンド)、Chris Brown(クリス・ブラウン)、A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)までが参加した、超絶豪華作品となっている。

ここ数年のヒップホップ最重要プロデューサー、メトロ・ブーミンが今回イメージする、主人公のマイルス少年が聴いている音楽とは。ブーミンの本気ヒーロー愛が存分に発揮されているであろう『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』、サウンドトラックもかなり楽しみな映画だ。

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