リル・ダーク、地元シカゴの大学や一流企業と協力して新しい奨学金制度を立ち上げる

ラッパーのLil Durk(リル・ダーク)が地元シカゴのハワード大学の学生を対象とした支援プロジェクト「The Durk Banks Endowment Fund(ザ・ダーク・バンクス・エンドーメント・ファンド)」を立ち上げた。これは経済的理由で入学/在学が困難な、優待生を支援する奨学金制度である。

さらに、経済的に困難な在籍学生が予定通りに卒業できるようにと、Neighboorhood Heroes FoundationとAmazon Musicが共同で25万ドル(約3400万円)を直接寄付することも明らかにした。

今回の支援についてハワード大学は「この度リル・ダークとNeighboorhood Heroes Foundation、Amazon Musicの皆様から支援をいただけることになり、私どもは心から感謝をしております。経済的なサポートだけでなく、今後も永きに渡って当大学の学生の心の支えととなりうるものです」と声明を発表している。

金額の大きさもさることながら、貧困層に生まれても、社会に恵まれなくとも、地域の支援団体やリル・ダーク、企業が支援してくれる。そのことは困窮する若者にとって、確かに孤立や絶望からの救いになるはずだ。

「キッズたちに、特に自分の地元で暮らす若者たちのために、振り返って手を差し伸べること。その責任を強く感じています。彼らこそ未来のリーダーたちであるため、最大の投資先であるべきだというのが私の考えなのです。彼らの将来は、輝きに満ちているべきであり、周囲の人々にも私のチームの試みに賛同していただけるよう、働きかけ続けていきます」とプレスリリースで述べたリル・ダーク。

自身はなんとかヒップホップで抜け出したが、貧困のうちに生きる困難さをよく知っているからこその行動、発言だ。ラッパーになって成功するか、売人やギャングになってストリートをのし上がるしかない。そうでもしないと親、子どもや、一族が飢えてしまうかもしれない。そんなコミュニティが今も全米各地に今も数多く残っている。そんな政府の手すら届かない絶望的な地域では、ラッパーが希望になりうる。そのため、なんとかして地域を改善しようと奔走する者も少なくない。

例えば、L.A.の街クレンショウ出身、そして地元の英雄となったNipsey Hussle(ニプシー・ハッスル)も、将来を嘱望され、地元に貢献していた。しかしそれでも、銃弾に倒れてしまった。貧困は銃とクスリと犯罪を延々生み出してしまうのである。リル・ダークもこれまで激しいビーフと無縁ではなかった。だがどうか、今後も報復や憎しみに駆られず、巻き込まれず、地域を支えていくことを願わずにいられない。もしかしたら、30才を迎えたリル・ダークこそがシカゴの未来を変えていく男になっていくのかもしれない。

ここ数年、地元シカゴのために尽力しているリル・ダークは2020年にも貧困支援NPO団体「Neighboorhood Heroes Foundation」を発足させている、彼のソロ最新作は昨年リリースした『7220』で「What Happened to Virgil ft. Gunna」「Broadway Girls feat. Morgan Wallen」の2曲はMVも好評だ。

また『Loyal Bros』(2021年)の続編となるコンピレーションアルバム『2022 Loyal Bros 2』も発表している。この作品はダークが地元シカゴで結成したコレクティブ集団「Only the Family(OTF)」によるもので、自身に加え、Future(フューチャー)、Kodak Black(コダック・ブラック)、Lil Zay Osama、BIG30、Icewear Vezzo、Trippie Redd(トリプル・レッド)らの実力派ラッパーたちが参加している。

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