「私たちの道を切り拓く!」 鮮烈にカムバックしたLE SSERAFIMが『UNFORGIVEN』MVでヴィランに変身

デビュー1周年を迎えて5月1日(月)に1stフルアルバム『UNFORGIVEN』をリリースした日韓混合5人組ガールズグループ LE SSERAFIM(ル・セラフィム)。同日公開されたリード曲「UNFORGIVEN」のミュージック・ビデオはポイントダンスのキャッチーさも相まってYouTubeでは公開17時間後には約1000万再生回数を記録し、人気を博している。

前作2枚のミニアルバム『FEARLESS』『ANTIFRAGILE』から3曲ずつと新たに7曲の新曲を加えた合計13曲が収録されている今回のアルバムは、3つのコンセプトで構成。1つ目の「BLOODY ROSE」では「世の中の決められた枠から一歩進む」という覚悟を込め、そのときに流すであろう涙や赤い傷などを印象的なビジュアルで表した。

2つ目の「DEWY SAGE」では「望んだところへ向かう」というポジティブなメッセージをアスレジャールックでエネルギッシュに表し、3つ目の「DUSTY AMBER」では「都心の中の開拓者」という斬新なイメージを西部劇映画に登場するような白馬やカウガールルックで表した。LE SSERAFIMはこれらのコンセプトを軸にダンスやR&B、アーバン、バラードなど多彩なジャンルに挑戦している。

グループ名のもととなった「IM FEARLESS(私は恐れを知らない)」という言葉とリンクするように、「他人の評価を気にせず、自分たちの道を開拓していく」という、初めてのアルバムにふさわしい力強い意味が込められている『UNFORGIVEN』。デビュー当時からブレることなく「私らしさ」「私の欲望」「私の旅程」など自分たち自身の考えを声に出してきたLE SSERAFIMは、同名のリード曲「UNFORGIVEN」で世間の評価と偏見に対するクールな姿勢を改めて鮮明に打ち出している。

そんな並々ならぬメッセージを込めた本楽曲は、豪華な制作陣が参加している。まず何と言ってもあのNile Rodgers(ナイル・ロジャース)がギターでフィーチャーしていること。ロジャーといえば、マドンナの『ライク・ア・ヴァージン』やDavid Bowie(デヴィッド・ボウイ)のアルバム『Let’s Dance』など1980年代から数多くの大物アーティストを手掛けてきた敏腕プロデューサーでもある。そして自身もギタリストであることから、「UNFORGIVEN」では持ち味のパンクリズムをプラスして楽曲の完成度を引き上げている。また2022年のジーニアスソングライタートップ25に入り、これまでBTSの『Run BTS』にも作詞で参加したことのあるFeli Ferraro(フェリ・フェラロ)やJay-Zが設立したレーベル「Roc Nation(ロック・ネイション)」で活動しているBenjmn(ベンジャミン)らもクレジットされている。

またマカロニ・ウエスタンの最高傑作『続・夕陽のガンマン(原題;The Good,the Bad and the Ugly)』(1966年)のメインテーマで、巨匠エンニオ・モリコーネが手掛けた有名OSTをサンプリング使用するという音楽的コダワリも仕込まれている。これによってコンセプトの一つ「自分たちの道を切り拓く」というメッセージをより強く印象づけることに成功した。

タイ・バンコクで撮影されたというMVは、エキゾチックな風景をバックに、ヘリコプターや白馬、クラシックカーなど多彩なアイテムが登場し、ファンを飽きさせない。お洒落をした紳士淑女が集う高級レストランでカウガールハットをかぶったLE SSERAFIMの面々がテーブルの上で他人の視線に構うことなく迫力のある群舞を繰り広げることで映像の幕が上がる。道の真ん中で白馬に乗って登場するチェウォン、世の中の偏見を狙うように弓を放つユンジン、燃え上がる翼をもぎ取るカズハ、固定概念を破るべく刀を抜くサクラ、キッチンでケーキを投げつけるウンチェなど、個々のキャラクターをうまく生かしたメンバーのビジュアルも見どころだ。

ポイントダンスでは、小動物のように可愛く耳を立てたかと思うと、次の瞬間には「I’m a villain」(villain:ヴィランとは悪役、敵といった意味)と歌いながら悪魔の角のようなジェスチャーとともに挑発的な表情をつくり、従順な姿に反抗するかのようなイメージを見せる。「私と一線を越えて一緒に行こう」と力強く呼びかけながら、横一列に並んでのダンスも壮観だ。また、前作「ANTIFRAGILE」のポイントダンスを使った動作も随所に取り入れてグループのアイデンティティを改めて刻印させると同時に、これまでの楽曲とのつながりを想像させるような彼女たちらしい仕掛けも隠されている。

これまでの活動で「ガールズグループ最強のパフォーマー」という足場を固めたLE SSERAFIM。そんな最強の武器を手に、彼女たちがこれからどんな“新しい道”を開拓していくのか楽しみだ。

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