38歳からの挑戦 キッド・カディ、“生きる伝説”トニー・ホークからスケートボード・レッスン

思い立ってスケートボードを始めることにしたラッパーのKid Kudi(キッド・カディ)。38歳にして新たな楽しみと挑戦に挑むため、直々に師事することにしたのがスケートボード界のレジェンド・オブ・レジェンドにしてカリスマ・オブ・カリスマ、Tony Hawk(トニー・ホーク)だ。カディ自らホークにコンタクトをとって、スケートのレッスンをお願いしたことは以前報じた通り。

ホーク自身、最初は驚いたようで「急にカディから連絡がきて、レッスンしてほしいってことだった。何週かに渡って今のところ2回ほど教えたけど、彼ほど飲み込みが早い初心者スケーターも珍しい」と太鼓判。2回目のレッスン時にはフェイキーやキックターン、スナップオリーにまで挑戦したのだとか。「その間キッツイ転倒を2度ほど食らってたけどね。でも痛い失敗があってこそ。また立ち上がって、成功したときの達成感があるんだってことは、我々スケーターならみんなわかることさ」との金言をSNSに投稿した。

一方カディもランプに挑戦する様子をアップ。「トニー・ホークとのトレーニング・デイ1、2の巻! 笑わないでくれよ、だってスケートなんて17年ぶりなんだからさ! ランプに至っては人生初!」とのこと、まだおっかなびっくり感があるが、めちゃくちゃ楽しんでいるのが伝わってくる。

その後はホークのつてで、ランプ・ビルダーまで紹介してもらったらしく、プライベート・ランプ場の施工にも着手したとか。「やばい、超楽しみ! でっかい子どもにでもなった気分だ」とはしゃいでいる。本当に嬉しそうだ。

日本でも若い世代はもちろんのこと、かつてキッズだったアラフォー世代が昨今のスケートブームによって、再びスケートを始めるケースが増えている。以前よりもスケートパークが増えたこと、かつては満足にできなかったが、現在は時間的に余裕ができたこと、都会から地方に引っ越して広いスペースが近所にある、自分の子どもたちが熱中しているのにつられて、などなどそれぞれの事情も関係しているようだ。キッド・カディも、若い時期にスケートへの憧れがありながら、ヒップホップに集中するため舵を切った、そんな過去があったのだろう。

そして時が流れ、成功を収めてから改めて子どもの頃の情熱に再び向き合うことにしたのだ。そんなカディの音楽と俳優としてのキャリアに、ホークは“インスパイアされている”と語り、今回のことでむしろ謝辞を贈っている。

「彼が新たな情熱の対象としてスケートボードを選んでくれたことに感謝しています。より大きな層に我々の文化を伝える機会を作ってくれました」。さらに、「彼の“幸福の追求”には、今や4つのホイールと、木製のプランクが加わった。それらを手にした彼の人生は、完璧だよ」と続けるトニー・ホーク。まるでスケート界の“ジェダイマスター”ヨーダである。

というわけで、今回の二人のやりとりは、スケートボードの普遍的な魅力に改めて気付かせてくれるものだった。いつものパークや溜まり場に行けば誰かしら仲間に会えて、新たな出会いがあったり、遠い街との交流が始まったり。技を覚えてゆく中で讃えあったり、自信をつけながら他者を励ましたり。ランプのビルダーがいたり、デッキのデザイナーがいたり。

もちろんキッズの遊びだが、しかしこれにとどまらない大きなカルチャーなのである。オトナ・チャレンジャーのキッド・カディと、スケート界の偉人トニー・ホークの交流。スケート・カルチャーの裾野の広さを幅広い年齢層にアピールしながら、何より本人たちが心から楽しんでいる。オトナたちにとってもちょっと胸熱で、誰もが新しいことにチャレンジしたくなるような、そんなエピソードだ。

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