ケンドリック・ラマー、GUCCIとコラボした約34万円の『To Pimp A Butterfly』超豪華限定ヴァイナル盤

Kendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)による2015年の傑作『To Pimp A Butterfly』が、「GUCCI(グッチ)」とのコラボレーションにより豪華限定版レコードとして再リリースされる。

コンテンポラリー・アーティスト Lauren Halsey(ローレン・ホールジー)によるデザインなども含まれる特別仕様で、販売はわずか100コピーのみ。2500ドル(約34万円)とレコードしては超高額だが、歴史的ラッパーによるプレミア必至の貴重アイテムだけに買い手が殺到すると予想されていたが、残念ながらどうやら既に完売しているようだ。

このリリースはレーベル「Interscope(インタースコープ)」による企画「Artist Inspired by Music: Interscope Reimagined」の一環で、過去にリリースされた名作と現代アートの担い手たちがコラボーレーションすることによって振り返る、そして売上はインタースコープ主催の若年層支援基金に充てられるというもの。ケンドリックの他にはDr. Dre(Dr.ドレー)、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)、Nine Inch Nails(ナイン・インチ・ネイルズ)、Lady Gaga(レディ・ガガ)ら、レーベルに所属するそうそうたるアーティストによる作品が並んでいるがが、そのうちの一枚として選ばれたのが、この『To Pimp A Butterfly』だ。

本作は売上こそ『DAMN.』や『good kid, m.A.A.d city』など他作品よりは振るわなかったが、グラミー賞を2部門受賞したほか、メディアも軒並み称賛を贈った傑作。シーンに登場して間もなくから“神童”、“時代の詩人”として注目され、早くに孤高の地位を不動にしたケンドリックにとって、メジャー2作目の本作こそアーティストとしての真価が問われる勝負作品だったはずだ。業界に迎合することもなく、コンセプト的にもサウンド的にも、野心的に放ったのがこの作品である。インタースコープがレーベル・アーティストの功績を讃える意味も込めたこの企画で、名作しかないケンドリックのカタログからあえて本作が選ばれている意義は推して測るべきだろう。

さて、昨年2022年はリリース10周年を迎えた『good kid, m.A.A.d city』が、過去作にもかかわらず年間で最も売れたヒップホップのアナログ・レコードとなったほか、最新作『Mr. Morale & The Big Steppers』も今年のグラミー賞で「Best Rap Album」部門を受賞するなど、圧倒的な存在感は変わらないケンドリック。8月にはシカゴで開催する<Lollapalooza(ロラパルーザ)>、千葉、大阪で開催する<SUMMER SONIC 2023>をはじめとする複数のフェス出演が予定されているほか、所属するラップグループ・Black Hippy(ブラック・ヒッピー)による新作リリースも噂されている。ケンドリックが参加するラップ・チームの12年ぶりの新作となれば、熱心なファンにとって楽しみではなかろうか。

というわけで、ゴシップを振りまくでもなく、事件を起こすでもなく、メディアにガンガン登場するわけでもなく、ただただラッパーとして孤高なまま話題を振りまき続けているケンドリック。今夏には待望の来日も控えており、引き続き要注目だ。

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