「この韻の速さがチャンピオンになる秘訣」 漢 a.k.a. GAMI、泰斗a.k.a.裂固を絶賛

毎回ゲストを迎え、一緒に料理をしながら喋るほのぼのラップトーク・ショー『漢 Kitchen ~漢 a.k.a. GAMI の料理番組~』で、ゲストに裂固(2023年現在、改名して本名の泰斗として活動)を迎えた放送回が公開されている。

ラップバトルを主催するなど、ヒップホップシーンを牽引し続ける漢a.k.a. GAMIが、「漢 Kitchen」チャンネルからお届けするこの番組では漢a.k.a. GAMIがゲストと料理しながらゆるゆると喋る意外性が魅力。相手とディスりあうこともなく、それぞれの出自やヒップホップ・エピソードなど交えたトークが人気だ。

今回の料理のテーマは“お寿司”。泰斗a.k.a.裂固と言えば、2023年1月22日「KOK2022GRAND CHAMPIONSHIP」で見事優勝を果たしたばかり。大柄な体格ながら寿司屋でバイトしていた経験を持つ泰斗は割烹着が全く違和感がなく面白い。魚はもちろん、高級飛騨牛のイチボ肉などもネタに寿司を握ろうとするも、トークが始まると手が止まってしまう泰斗a.k.a.裂固。

「まあ、緊張しやすいというのは知ってるし、性格もよく知ってるけどもこの番組に出てくれたG-YARDよりも同時に何かできないのかな」と漢 a.k.a. GAMIも少し心配そう。ちょっと不器用、でもひたすら真面目な姿がやたらと微笑ましい。

泰斗a.k.a.裂固は97年生まれ。過去に地元・岐阜の回転寿司でバイトしており、離婚した母親と2人の兄弟を助けるために高校に進学せず週6でアルバイトしていた努力家エピソードは有名だ。そんな中、15歳のときにライブで見た輸入道の長尺フリースタイルに感動し、ラップの道へと進んだという。その後は地元のサイファーやライブで自分のスタイルを磨き、各地のバトルで呂布カルマやサイプレス上野に勝利するまでに。さらにはフリースタイル・ダンジョンの2代目モンスターを務めるなど、今やラッパーなら知らぬものいない存在にまでのし上がった。

そんな彼の多くのラッパーとの違いは、不良性を売りにするでもない、ただただ真面目なその人間性だ。ワルいエピソードもやんちゃさもないが、やたら高い押韻のスキル、頭の回転の早さでここまできたタイプのラッパーなのである。番組での緊張しいで、ほとんどラッパーに見えない(というか寿司屋にしか見えない)姿もまた、彼の素が出ている。

当時のバイトではマシン頼みで料理のスキルは高くないあたりに漢 a.k.a. GAMIも突っ込みを入れるが、押韻スキルには一目置いているからか「“回転寿司”で韻踏んでみて」などとリクエスト。真面目な泰斗a.k.a.裂固もこれに応えるが、最後の「ブリの握り“ライス on the ブリ”で踏んでみて」のお題に、ほぼ即答で「“このサイズぼったくり”じゃねえか、みたいな」と返したのはお見事だった。感心した漢 a.k.a. GAMIも「この韻の速さがチャンピオンになる秘訣なので……」と絶賛のコメント。料理技術はともかくとして、ラップに関してはさすがの反射神経とウィットである。

漢 a.k.a. GAMIも思わず感心するほどの頭の回転の速さと、謙虚さで群雄割拠のラップ界そして魑魅魍魎の浮世をどこまで行けるのか。オラついていなくとも、ワルい武勇伝なんかなくとも、キレキレのラップ力だけでトップでいられることを証明してほしい。

ともかく、今後ますます注目の泰斗a.k.a.裂固。ラップの世界をこれまでと違う方向へと開拓してくれそうな可能性を見せてくれる、2023年の幕開けにふさわしい新チャンピオンである。

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