死ぬ時に感謝されて、コイツはカッコ良かったなって言われる人生がいい|西宮ジョシュア × 池田幸太 #4

日本を代表するスケーターの池田幸太をホストに据え、毎回縁ある人物をゲストに招き、トークセッションを繰り広げる企画。「Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、毎回ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく。

西宮ジョシュアをゲストに迎え、前回のパート3では、オリンピック後のシーンの変化と自身が思い描く未来像について語ってもらったが、最後となる今回は、自身のルーツであるガーナにのこと、成長の中で誰もが直面する進路の壁のこと、さらにスポンサー観などなど、盛り沢山の内容でお届けする。

未知なる祖国への想い

池田幸太(以下 K):最後はルーツについて聞いていきたいんだけど、ジョシュアは日本とガーナのハーフでしょ? ガーナには行ったことあるの?

西宮ジョシュア(以下 J):いや、それがないんですよ。お父さんがガーナ人なんですけど、すでに母親とは破局してるので行く機会がないんです。だから自分は生粋のジャパニーズです(笑)でも、それだからこそ行ってみたいんですよね。

K:じゃあ行ったところで感動とかはないんだ?

J:よくドラマにありそうなのは全くないですね(笑)言語も公用語は英語なんですけど、地方とかに行くといろんな言葉が話されている多言語国家なんですよ。一応英語は話せるんですけど、ネイティブとは言いづらいかなって感じですし。前に長期間いた時は生活には全く問題なかったんですけど、TOEICとか受けたら全然ダメだと思います。書きとか勉強になっちゃうと……って感じですね。

K:じゃあガーナにそこまで思い入れとかはないんだね。

J:そう、ないんですよ。親戚はめっちゃいるらしいみたいなことは聞いたことあるんですけど。小さい頃に父ちゃんに連れてってもらった母国料理が美味しかったとか、そういう思い出も一切ないんです。

ミックスならではの苦労

アフロがダメで髪の毛を結んでいた当時。それでもさまざまな苦労をしていた

K:不思議な境遇だね。でもハーフって境遇にいると、日本だと見た目の問題とか色々あると思うんだけど、ネガティブなこととポジティブなことをそれぞれ聞かせてもらってもいい?

J:いろいろありますよ。これは肌の色のせいなのかわからないんですけど、小学生の頃に自転車を盗まれて被害届を出しに交番に行ったんですけど、そこで「そんなこと知らねよ!」って追い払われたことがあります。本当のことなのに嘘だと思われてたのか、逆に警察が自分のことをパクる側のキッズだと思い込んでた部分もあるんじゃないかな!? と思ってるんですよね。

あとは僕って地毛がアフロみたいなんですけど、アフロはダメだからって学校で言われたから、じゃあそれを結んでコーンロウみたいにしていったことがあるんですけど、「だからこれはダメなんだよ!」って言われたんですよね。コーンロウ=不良じゃないですけど、日本ではそういうイメージなのかなって。実際はそんなことないんですけど。正直大人になった今考えたら、こういうのってよくわからないですよね。すごく小さなことかもしれないですけど、そういったのは昔から感じてました。

K:じゃあ逆にポジティブなことは? 今なら結構あるんじゃない? 例えば怖いオッサンに絡まれたけど、見た目でなんとかなったみたいな(笑)

J:いや、その前にケンカを売られるなんてことなんてないですよ(笑)ただモデルの仕事とかはミックスの人間だからこそできて、それでメイクマネーできたりってのはあるので、そういうのはポジティブなところなのかなと思いますけどね。日本は海外の人間が少ない国だし、自分みたいなタイプは変わってる方だから、それで仕事がゲットできたりってのはありますね。

K:わかるよ。俺の周りにもそういう人って多いんだよ。小さい頃一番仲良かった友達もフィリピンとのハーフなんだけど、そういう奴を見てると小さい頃は大変な思いしてるんだなっていうケースが多いんだよね。でもそれが大人になってみると、例えば英語がもともと喋れるとか、ポジティブなことに切り替わるっていうか、そういうのってない?

J:切り替わるっていうのはすごくわかりますね。俺も髪の毛はストレートが良かったなって思ってた時期がありましたよ。なんでなんだよ! って(笑)でもそこの歳になると、これもスタイルっしょ! って思えるというか。人と違うことがポジティブに捉えられるようになったので、それは良いことだなって思いますね。キッズの頃って、日本の教育もあると思うんですけど、大概の子供がが皆と一緒がいいって思うので、それが自分には辛かったですね。

K:けどジョシュア達のクルーって、言ったら全員バラバラだけどね(笑)ニキタはロシアだし、松本は中国の血が入ってるし、俺的には純血のジャパニーズの方が少ないイメージだけどね。それでいて皆仲良いし、共通してスケボーが大好きだし、あの感じは良いなと思って見てたよ。ところで最近モデルの仕事はやってるの?

J:ちょこちょこって感じですね。昔はエージェンシーとかに入ってやってたんですけど、最近は結構ブランドを選んでるというか、自分がカッコいいなと思うところと仕事をしたいなと思っているので、そういう意味では少なくなった方だと思います。どれもこれもやろう! みたいな感じではなく、自分がイケてる! って思うところと仕事できたら最高!! みたいな感じに変わってきました。まあ僕はスケートがメインなんで。

スケートボードの道がなかった学生時代の進路決定

K:まあたまに知り合いとかに頼まれたらやるって感じなんだね。あとは俺の中でジョシュアといえばって話なんだけど、建築士とかになろうとしてなかった?

J:あっ、昔はそうでしたね。っていうのも高校卒業する時に教師と面談するじゃないですか。それで進学するか就職するかどちらかにしてくれって言われてたんですよ。そこで自分はずっとスケートボードがしたい! っていってたんですけど、その時点でスポンサーがついてなかったので、学校に対して説得力がなかったんですよね。

それでも建築も興味はあったので進学したんですけど、学校はすごい忙しいし、課題とか勉強も本気でやらないとついていけなくて、入学してから両立はできないなっていうのがわかったんです。だからやっぱりスケートが本気でやりたい! っていうのを親と相談して、半年通ってから一年休学したんですよ。それで休学期間中にスポンサーが付いたらやめてもいいよっていう話になったので、その一年は本気で頑張りました。そうしたら「HEAPS」と「NEW ERA」が付いたので、じゃあ辞めるねって感じだったんです。

その時は契約書を交わすような中身ではなかったんですけど、一応ライダーとして入れたので、頑張れば可能性はある! ここからスケートを死ぬ気で頑張ろう!! って思いました。でも今思うと、入学金とか本当にもったいないなと思いますし、そこを負担してくれた両親には本当に感謝しかないですね。

K:そういう経緯だったんだね。そしたら俺が話したのはちょうど進学したタイミングだったから、建築の勉強しててって話してたんだ。それまで俺の耳にはスケートで食って行きたいっていうのが入ってきてたから、すごい意外だなって思ったんだよね。

J:はい。自分はどうしても建築士になりたくてってわけじゃなくて、進学を勧められたから、その中で何があるかって環境だったので、じゃあ行ってみるかって感じだったんですよね。

K:スケボーっていう選択肢が選べないっていうのは、誰しもがぶち当たる壁だよね。ましてやそれで両立なんて絶対無理だよね。スケボーだけでも死ぬほど練習して上手くなって、いろいろ身につけていかないとやっていけないからね。それは建築士も同じだと思うよ。じゃあスケボーやってなかったどうなってた? 建築士になってた?

J:いやー、どうなんでしょうね。全くわかんないですね。でもスケボーに出会う前に公式テニスを4年間くらいやってたので、そっちにハマってたら、もしかしたらスケボーにも出会わずテニスプレイヤーになってたのかもしれないですし、普通に他のことやってたかもしれないですね。後は空手もちょっとかじってましたし、結構色々なことやってたんですよ!

K:じゃあスケボーしてなかったとしても、何個か道はあったんだね。

J:いや、でもグレてたかもしれないですよ!? 友達にも何人かそういう人はいるし、地域的にも足立区ってグレる可能性高いので(笑)だからスケートボードがあって良かったなと思います。でもまだ人生は長いですし、これから先もどうなるかはわからないので、まだまだだと思ってますけど。

K:じゃあさ、今はスケボー以外に何か好きなことってないの?

J:フットサルとかはたまにやってますよ。さっき話した中学時代のサッカー部時代の友達に誘われたりするので、僕が行けるタイミングで行ってますね。

スポンサー = 大好きなブランド

K:そうなんだ!? それも意外! じゃあ好きなファッションとかはあるの? でもスポンサーになっちゃうか! ジョシュアは好きなブランドがスポンサーについてるもんね。

J:はい。まずキャップはさっきも話したNEW ERAからサポートされていて、上着はSupremeなんですけど、実は昔並んで買ってたくらいなんですよ。

K:そうだよね! 昔撮影の時に流れで付いてきて、初めてSupremeのステッカーをもらった時もマジっすか!? みたいな感じで大ハシャギしてたよね!?

J:してましたね(笑)確か当時あった専門誌のトランスワールドの最後の撮影で、自分もちょっとだけ撮影してもらった時なんですけど、その流れで先輩達についていったらって感じでした。

K:そんなブランドに今サポートしてもらってるなんて、最高の環境だね!

J:ありがたい限りです。それでボトムスはリーバイスを穿いてるんですけど、リーバイスももともと好きだったのでサポートしてもらえて光栄だなと思ってます。やっぱりスポンサーは自分の好きなところじゃないとっていうのは大前提ですよね。

K:うん、それはもちろんなんだけど、俺がジョシュアで稀だなって思うのは、皆大体生粋のスケートブランドがスポンサーってケースが多いと思うんだよね。でもそこのイメージがあまりないというか、世間一般的にはファッションブランドとして認知されてるところばかりと思うんだよね。リーバイスもそうだし、Supremeなんてストリートではハイエンドって感じだから、そういったところにしっかりと狙いを定めて、しかもスポンサーを受けてるっていうのは、環境としては最高だし、頑張ってキッチリと結果を残してるからこそ得られた成果なんだろうなって思うんだよね。

J:ありがとうございます。あとシューズは今度復活する「グラビス」なんですけど、ちょうど今パートも撮影真っ最中って感じですかね。

K:なるほどね。グラビスも一般的にはスケートよりもカジュアルシューズの印象が強いよね。じゃあこの辺でそろそろ佳境に差し掛かってくるんだけど、いつも持ち歩いているものを教えてもらっていい?

J:なんだろ!? スケートワックスとケータイ、タバコ、あと財布ですかね。ただ最近はキャッシュレスだからスマホでピッとやって済ますので、その場合財布もなくてもなんとかなるって感じですかね。基本はスケートしに行くので、普段の持ち物っていうと大体マストで持ってるのはそんな感じですかね。まあ真夏とかだと着替えとかも必須ですけど。

K:ワックスちゃんと持ってるんだ!? 偉いね!

J:あっ、あとこれ意外だと思うんですけど、実は結構本を読むのが好きで持ってることが多いんですよ。読書家まではいかないですけど、よく読んでますね。あとこれ言っちゃうとガチだ! って印象持たれちゃうかもしれないんですけど、ビジネス系が結構好きで。そういう自分がいるところとは全く違う世界、違う業界のことを学べるのが面白くて、そういう系を読んでますね。まあ趣味ってほどでもないですけど。

K:それめちゃめちゃ以外だね! しかも興味あるのがスケート業界以外なんだ!?

J:はい。そういうのを読むと、例えば「これってこういうことなんだ!」って広告の意味が理解できるようになってきたりするんですよ。しかもそれって自分の生活に関わっていることというか、自分が生きてる世界で起こってることなので、そういうのがわかるのが面白いんですよね。勉強って感じじゃなくて、興味あることだから読めるって感じなだけなんですけど。

人生で大事にしていること

K:へー、めっちゃ意外だったそれ。それこそこの企画のテーマでもあるに二面性だね(笑)でもジョシュアって画家とか以外といろんな友達いるし、交友関係もスケーターだけじゃない人とも一緒にいたりするから、そういうところも含めて面白い人間性だよね。じゃあこれ最後の質問なんだけど、人生で大事にしてることってある?

J:人生で…、これって皆そうだと思うんですけど、最後自分が死んだ時に感謝される人間でありたいですね。コイツがいて良かったなとか、コイツに助けられたなとか、そうやって思われて死んでいきたいなって思ってます。人生の目標はそれですね。

自分は今でも助けられることが多いし、サポートしてくれる人も周りにいるし、そういうのを自分が受けると、今度は自分がサポートしてあげたいなと思うようになるというか。そういう感覚で人生を終えたいというか、死ぬ時に感謝されて、コイツはカッコ良かったなって言われる人生になったら良いなと思ってます。

K:とりあえずお前ら泣けよみたいに堂々と言えちゃう人生か。間違いないね。

J:はい。最近はスケートするのももちろん相変わらず楽しいし、自分のことを頑張るのも大事なんですけど、自分が手助けできることがあればしていきたいなと最近は考えてます。

K:立派だね。俺が22歳の時そんなこと考えてなかったよ。

J:いやいや、っていうのも自分の場合は雄斗の影響も大きいんですよ。彼はすごい助け合ってきて今の地位を築いてるのも知ってるので。それに今はこれから夢を求めてアメリカに来るスケーターのサポートをしたいと話してますし。同じように自分も助けてもらってきたので、今度は逆に助けてあげられるような存在になれるように頑張っていきたいと思ってます。

4回にわたってお届けした池田幸太と西宮ジョシュアのトークセッションはいかがだっただろうか。ホストの池田幸太でしか引き出せない、ゲストの二面性が十二分に伝わる内容になっていたかと思う。なお、YouTubeでは本インタビューの動画が公開中だ。

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