ストリートスケートで一番大事なのは、カッコいいかカッコよくないか|西宮ジョシュア × 池田幸太 #3

日本を代表するスケーターの池田幸太をホストに据え、毎回縁ある人物をゲストに招き、トークセッションを繰り広げる企画。「Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、毎回ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく。

西宮ジョシュアをゲストに迎え、パート2では、彼のホーミーでもある金メダリストの堀米雄斗について話してもらったが、今回はオリンピック後のスケートシーンの変化と、自身が思い描く未来像について語ってもらった。

スケーターの増加とストリートスケートの規制

池田幸太(以下 K):ジョシュアはオリンピックについてどう思ってる? スケートシーン全体もそうだけど、終わって見て何か感じることはある? 俺はオリンピックで世間の注目を浴びた分、ストリートだったりとかが滑りにくくなったなとか感じるところはあるんだけどさ。

西宮ジョシュア(以下 J):自分も似てるところはあって、まずスケーターは間違いなく増えたと思っています。自分はスクールもやってるんですけど、オリンピック直後は1日で150人増えたなんてこともありましたね。あとは地元でも街中でスケータを見かける姿が増えたなと思います。後は友達がスケートを始めたいから、何かいらない板ない? みたいな連絡がめっちゃくるとかもありました。

K:それは俺も一緒だよ。オリンピック終わってからそういう連絡増えたよね。自分からしたら誰だっけ!? みたいな人から突拍子もなく突然連絡がきて、「最近スケボー買ったんだよー! 教えてよー!!」みたいなノリで来られるから、いきなりよくわかんない人にそんなことを言われても、こっちは逆に困っちゃうみたいな(笑)

J:後はストリートも余計に厳しくなりましたよね。基本的に自分は東京のストリートで撮影してるんですけど、オリンピックで注目された分、セキュリティも僕たちが何をしようとしているのか理解できるようになった気がして。ただスケートボード持って歩いてるだけなのに、隣のビルのセキュリティとコンタクトをとってるのを見るんですよ。多分「スケーターいるから気をつけて!」みたいなことをいってると思うんですけど、そういうのは増えましたね。

スケーターが増えるっていうのは、良い意味では業界の裾野が広がるし活気付くし盛り上がりますけど、そうじゃない部分というか、世間はオリンピックでスケートボードを知ったので、スケートボードのスポーツの部分しか知らないがために、こんなところでやっちゃダメでしょ! という考え方になっているというか。そういう広がり方をしてしまうと、ストリートで滑ってビデオを作って、スポンサーで食ってるような自分のような人間からしたら難しい時代になったなと思います。オリンピック前に比べたらキックアウトは確実に早くなりましたし。

K:そこは難しい問題だよね。認知度が圧倒的に変わったからさ。それでストリートで怒られる時に、オリンピックの話とかされちゃうと動きにくくなっちゃうよね。「オリンピックの子達はあんなに頑張ってるのに、何やってるの! あんた達!!」みたいなこと言われちゃうとさ、自分たちは「この人たちは突然何なんだろう? でもこっちの事情は何も知らないんでしょ!?」ってどうしても思っちゃう部分はあるよね。

J:何ならオリンピック出てる人達もそこはやってるからね!? っていう話だと思うんですよね。だから雄斗もメディアに出た時は「ストリートスケートが本質だから」っていうのはいってるし、そこはめちゃくちゃカッコいいと思いますね。

けど、一般の方が理解しにくいのもすごくよくわかるし、どちらかというとスケーターもグレーゾーンでやってると思うので、そこで反発するのはナンセンスだと思いますね。怒られてセキュリティと戦うみたいなスケーターも中にはいるし、動画も見たこともあります。でもスケーターも仕事ですけど、セキュリティも仕事なので、もしキックアウトされてしまったら、すいませんとスマートに立ち去って次のスポットに行ったりするべきだと思います。ただ自分はキックアウトされる前に狙ったトリックをメイクするのが一番カッコいいと思うので、それをなるべく心がけるようにはしてますけどね。

K:ジョシュアわかってんな~(笑)それだよ本当! 警備員と言い争ってるシーンとかビデオで見てもつまらないしね。こっちも嫌な気分になるし。やりたいことパッとやってスマートにその場を立ち去るのが一番良いよね。

J:間違い無いですね。それで撮影し終わって、コンビニでお疲れーみたいな感じで一杯やりながら話せば良いじゃん! みたいな。撮れた後のあの時間って、本当に至福の瞬間なので。

現在の立ち位置と自身の世代

K:そうだね。撮れた後のスケーター同士の会話ってなんであんなに面白いんだろうね。ところでジョシュアは今22歳だっけ? 世代的に中堅に入ってきてるなって感じるところはある?

J:めちゃくちゃ感じますよ。それこそパークでキッズがビガースピンフリップとかトレフリップとか難易度が高いトリックをバリバリやってる姿を20歳過ぎてから見ると、下の世代が育ってきてるんだなというのを感じざるをえないですよね。そういうところから、自分も世代的には中堅的な立ち位置になってきたんだな~と思いますよ。

そういえば幸太さんは今何歳なんですか?

K:33歳になる年齢でオッケン(奥野健也)とかと同じだね。後は森中一誠とかかな。人数は少ないよね。その下の世代だと(北詰)隆平とかもいるけど、まとまったところだともう瀬尻稜とかになっちゃうかな。それでそのまた下の世代が雄斗とかジョシュア達だと思うんだよね。でもそこから下の世代って一学年ごとにぞろぞろいて、徐々に層が厚くなってる感じはするよね。

ジョシュアの場合は下の世代が詰まってる分突き上げもスゴイだろうし、その辺は俺たちの世代より、さらにリアルに感じてるのかもね。

J:感じたくはないんですけどね。でも感じざるを得ないというか。

K:俺が22歳の時とか瀬尻稜もまだキッズから抜け出し切れていなかったところもあったし、感覚的には俺の時代がやっと来た! みたいなところはあったかな(笑)

J:でもその感覚は自分もちょっとありますよ! 

これからの日本のスケートシーン

K:でも全然まだまだこれからだよ(笑)良いことも悪いことも、これから先もっといろいろな経験を積んでいくと思うよ。じゃあまた話は変わるんだけど、これから日本のスケートシーンの未来はどうなっていくと思う?

J:難しいですね…。でもそうなって欲しくない願望というか、そういうのはあります。コンテストスケーターばかりが増えて、ストリートスケーターとして活動する人が少なくなることは危惧してますね。でも、なんかそうなりそうな予感もしているんです。

なぜかというと、今の子供達はオリンピックとかそういうところを見て始めてる人がほとんどじゃないですか。それだとストリートスケーターの活動内容って、コンテストから入ったキッズスケーターの親御さんとかはわからないと思いますし、今はスケートYouTuberとかも地位が確立してきているところがあるので、映像を作るにしてもそういう方向に流れていく人が増えていくのかなと思いますね。でも、ストリートスケートでスポンサーからしっかり給料をもらって食っていくのも、そういったものと変わらないくらい難しいと思うんですよ。

だからこそ僕たちの世代、俺とか(池田)大亮とか本橋瞭とかが、ストリートを盛り上げていこう! みたいな感じで動いてますね。そうやってストリートスケーターがイケてる動きをしていかないと、その道が無くなっちゃうのかな? って思うんですよね。

その辺って大会だとわかりやすいじゃないですか!? 大きいところで優勝したらドリンクスポンサーとかが付いたりみたいなところがあると思うんですけど、ストリートスケートは全然違うというか。パートをひとつ撮り切ったからOKというわけでもないので。ストリートの場合、結局一番大事なのはカッコいいかカッコよくないかだから、そういうところも含めて難しいのかなと思いますね。ただスケートボードは、コンテストよりもこっちの方がルーツだし本質だから。増えていってほしいなとは思いますけど。

K:うんうん。結局そこが究極だし、最先端じゃないけど、もともとスケートボードってそういうものだから、そこを引っ張っていかなきゃいけないっていうのは、ジョシュア達世代の役割なのかもね。でも、俺はストリートスケートは無くならない思うけどね。

J:まあ僕もそこは無くならないとは思いますけどね。結局そこが一番クールだし。でも僕が最強にクールだなと思うのはコンテストもストリートも両方こなすことだと思うんです。だからゴメちゃん(堀米雄斗)が最強なんですよ。もうズルいです(笑)

僕はただ勝てないから出てないだけで、もし自分が超絶うまくて勝てるなら出てると思います。だからコンテストがダサいとかは全く思ってないですね。スケーターの中には「オリンピックダサいっしょ!?」みたいな意見もありますけど、自分からしたら「じゃあ出てみろよ」って思いますけどね。結果出した人が言うならまだわかるんですけど。

スケーターとしての目標

K:そういうことを言う人って、大体どっちもやってないじゃん…。みたいな人達ばかりだよね。ところでジョシュアってスケーターとしてこうなりたい! っていう夢とか目標みたいなものってあるの?

J:こういうと抽象的かもしれないですけど、曲げないでいるのは「カッコイイ」の部分を追求し続けることですかね。スケーターっていう仕事は、生活も含めてとかは全てイケてるんだ! っていうのはポリシー的な形でずっと持っているし、そこは今後もずっと変わらないでいたいところですね。

ただ近いところの具体的な目標でいうと、今日本の「Supreme」からサポートを受けてるんですけど、それで来年本拠地のNYに行って、ビデオに出る! って言うのは近い目標にしてますね。やっぱり向こうで撮ってもらいたいんで。

K:それヤバいね。超観たい! NYで映像撮って本国の作品に出てる日本人はまだいないでしょ。もし達成できたら、Supremeの場合は立ち位置からいってもストリートドリームっていえると思うし、そういう意味では先駆者になれるね。めちゃくちゃ良いじゃん!

J:そうなんです。Supremeのビデオに、スケーターとしてスケートビデオの中でスケボーしてる日本人が出る! っていうのはまだないことプラス、ブランドの顔になる映像作品で、現地のフィルマーに撮ってもらって、作品に出演するって言うのは本当に狭き門だと思うんですけど頑張りたいですね。

でも自分次第だと思いますし、頑張ればチャンスはあると思ってるんです。前回LAに行った時もSupremeとNIKEのライダーともホーミーになれたので、楽しくスケートしてたら良い方向にいくと思っています。

K:めちゃめちゃ良いじゃん。それならとりあえず行くしかないね。

東京オリンピック後はマスメディアでも盛んに報じられていたストリートスケートについての話題だが、実際にストリートで活躍している2人の話はいかがだっただろうか。本質の追求と社会との共存はこれからの大きなテーマだと感じる。さらに今回は彼の未来にも期待が持てる内容だった。

最後となるパート4では、自身のルーツであるガーナについてと、誰もが直面する進路の壁、さらにスポンサー観などなど、盛り沢山の内容でお届けする。

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