入隊を控えたJ-HOPE(BTS)、J. コールとのコラボ楽曲『on the street』に込めた想い

BTSのJ-HOPEが、米国ラッパーのJ.Cole(J. コール)とコラボレーションした最新曲「on the street (with J. Cole)」をリリースし、ミュージック・ビデオを公開した。今回J-HOPEは曲作りはもとより、MV企画にも参加して多才ぶりを発揮すると同時にその独創的なカラーをあますところなくMVでも表現している。同曲は2022年7月1stアルバム『Jack In The Box』以降7カ月ぶり、そして入隊前最後のソロ活動になるとみられており注目度は最高潮だ。

気負わないメロディに優しくもメッセージ性の強い歌詞がクロスしたローファイ・ヒップホップ「on the street」は、これまでシングル「Chicken Noodle Soup (feat. Becky G)」「MORE」などでも旺盛なソロ活動を繰り広げてきたJ-HOPEと、2007年のデビュー以来、知性派ラッパーとして米国のヒップホップシーンをリードしているJ. コールがタッグを組んだ希望と温もりに包まれたナンバー。さらにこの2人を支えるように、数多くのBTSの楽曲に関わりJ-HOPEを知り尽くすプロデューサーPdogg(ピドッグ)も作詞作曲に参加して完成度を高めている。

MVは、ニューヨークの路地裏でJ-HOPEが1人の少年と挨拶を交わしているところから始まる。冒頭のメロディからは口笛が軽やかに聞こえてくるが、これはJ-HOPEが自ら録音したものだそう。その後、少年とはハイタッチをして別れ、リズムに体を委ねて路地裏から広い大通り、そして地下鉄の構内へと、蝶が舞うようにニューヨークの街の中を移動していく。

地下鉄構内に入るJ-HOPEと入れ替わるかのように、水たまりの残るビルの屋上には1人佇むJ. コールの姿。構内で列車が勢いよく行き交う中、フードを目深に被ったJ-HOPEのダンスとJ. コールの語りかけるようなラップがシャッフルして2人の世界が徐々に重なっていく。誰もいない地下鉄に乗って移動した後、地上に出たJ-HOPEは、ビルの屋上で最初に別れた少年と似たような格好をしたJ. コールと出会い、少し慎重に、しかし喜びにあふれた挨拶を交わしてMVが締めくくられる。

この曲を通じて、誰もが経験する悲しさや苦悩の中、一人ひとりが歩く道(ストリート)の上で希望となって世界のファンとともに歩みながら喜びを伝えたいというJ-HOPEの気持ちが伝わってくる。レーベル側は「『ストリート』という言葉は、多くの人々の日常が行き交う場所、つまり人生のメタファーとして解釈することもできる」と説明している。それを表すかのように、道端で誰かを追悼するように花を手向ける人、薄暗く狭い地下鉄構内を目まぐるしく行き交う地下鉄の車両、その中で何かにとりつかれたように踊るJ-HOPEと広い屋上で1人独白するかのようにラップを紡ぐJ. コールが登場する。

リリックに目を転じると、J-HOPEの希望を込めたフレーズと、J. コールの自叙伝的な物語が不思議なハーモニーを奏でながら2人の世界が交わっていくのが分かる。冒頭でJ-HOPEが歌う「Every time I hope as always/or us (どんなときも僕はいつものように希望を持っている/僕たちのために)」のくだりは、彼がこれまで幾度となく明らかにしてきたファンへのメッセージが込められているし、J. コールのラップの部分に登場する「Fought tooth and a nail/Just to prevail mongst it’s ruthless(歯を食いしばって戦った/冷酷さの中で勝ち残るために)」「I got a strange type of hunger/The more I eat the more it gets stronger(奇妙な飢餓感がある/食べるほどにそれは強くなっていく)」からは入れ替わりの激しい米国ヒップホップ界で今も第一線を守り続けている彼の強い意志を感じることができる。バックグラウンドも活躍しているフィールドも全く違う2人の音楽に対する愛情は「J-hope, Cole World」というワンフレーズで一つとなってファンの元へと届く。

別れと出会いを暗示しているような「on the street」は、JINに続いてBTSメンバー入隊2人目となるJ-HOPEがファンに向けた贈り物ともいえる。入隊決定直後、所属事務所のBIGHIT MUSICは「J-HOPEが兵役を終えて無事に帰ってくるまで、引き続き応援をお願いします。弊社はアーティストのサポートに努力を惜しみません」とアナウンスし、悲しみに沈むファンにメッセージを送った。入隊の詳細はまだ発表されていないが、J-HOPEはあるインタビューで軍生活の間もファンが寂しくならないように沢山のコンテンツを用意していると語っており、ファン思いの彼らしいはからいに“ARMY(BTSのファンの愛称)”は感激しているという。

新曲「on the street」の活動はまだ始まったばかり。日頃からBTSの楽曲の中でもリスペクトを表現してきたJ. コールとの息の合ったコラボは、J-HOPE自身にも、そして全世界のファンにも最高の贈り物となることだろう。

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