同じ病気を患っている方々に元気だったり夢や希望を|サッカー日本代表 伊藤洋輝 インタビュー#3

「Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく特別インタビュー。今回は、ドイツ・ブンデスリーガの「VfBシュトゥットガルト」に所属し、『FIFA ワールドカップ カタール 2022』に日本代表として参戦した伊藤洋輝選手をゲストに迎える。インタビュアーを務めるのは自身も学生時代に10年間サッカーをプレイしていたボーイズグループ・学芸大青春の内田将綺。

パート2では代表として初めて参加したワールドカップで感じたこと、思ったことを率直に語ってくれたが、ラストとなる今回は伊藤選手を印象付ける右目のことやオフの過ごし方など、プライベートなことについて話を聞いた。

このまま、ありのままでいけばいいのかな

内田:右の眉毛について聞いてもいいでしょうか?

伊藤:小学校3年生ぐらいですね、右目の上が白くなる「白斑」という病気を患いまして。最初はこんなに白くなるとは思ってもいなかったし、少しずつかぶれていく感じだったかなと。最初は病院に行っていたんですけど、「別に治さなくていいや」とふと思ったときに、病院に行くのをやめてしまって。そこからこのまま現在まできたという感じです。小学校だとどうしても聞いてくる人も多かったし、「なんて言えばいいのかな?」というのはずっと思ってました。大人になったら認知されてきて、聞いてくる人もいなかったので。まあ、「伊藤洋輝は目が白い」みたいな感じですごしていますね。

内田:「病院に行かなくていいな」と思ったきっかけみたいなのはあるんでしょうか。

伊藤:ただ面倒くさかったんじゃないですかね(笑)

内田:(笑)

伊藤:きっかけははっきり覚えていないですけど、病院に3、4回ぐらい行って、どうなっていくかわからなかったのにもかかわらずやめてしまったので。大人になってから、知り合いの方とかに「治す?」と言われたこともありますけど、「いや、いい」と。別に恥ずかしいとも思っていないし、このまま、ありのままでいけばいいのかなと思っています。

内田:確かに、今の姿が伊藤洋輝として世界に伝わっていると思います。

伊藤:2年前ぐらいに地元ですき焼きを食べに行ったお店の息子さんが、目じゃないんですけど髪の毛が白くなってしまっていたんですが、その子が僕のことをアイドル的な存在という風に言ってくれたので。自分が活躍することによって、同じ病気を患っている方々に元気だったり夢や希望を与えられる存在でありたいなという思いはあります。

原点になる曲は菅田将暉『ロングホープ・フィリア』

内田:試合前にテンションだったりバイブスを上げるために聴いている音楽はありますか?

伊藤:そのときそのときで好みの音楽というか、聴きたいなと思う音楽が変わっていくんです。日本の音楽を聴くときもあるし、洋楽にハマっている時期もあったりして。でも、結局戻ってくるのは日本の音楽だなという感覚はあります。

内田:ドイツでプレイしていると、洋楽を聴くことが多いんですか?

伊藤:そうですね。ロッカールームでもメチャメチャデカいスピーカーから洋楽がバンバン流れているので。

内田:DJがいるんですね(笑)

伊藤:日本人の僕としては「ちょっとうるさいな」と思いながら(笑)

内田:(笑)

伊藤:スピーカーも持ち運ぶので。自分のところにきたらスッと遠いところに置かせてもらって。なるべく……。

内田:自分の世界に?

伊藤:はい。みんなけっこうアップテンポな音楽が好みなのかなって、流れている曲を聴くと思いますね。ただ、たまには「いいじゃん」みたいなのもあります。

内田:日本のアーティストに戻るとおっしゃっていましたが、特に聴くアーティストはいらっしゃいますか?

伊藤:「これ!」というのはそんなにはないですけど、個人的にちょっと迷ったときに聴くのは、菅田将暉さんの『ロングホープ・フィリア』。最終的にそこに戻るみたいなのは、いつからかこの曲です。

内田:自分の原点の曲みたいな感じですか。

伊藤:そうですね。一番聴いている曲かもしれません。

内田:僕もアーティストをやらせていただいていて、次のミニアルバムのなかに『Trash Talk』という楽曲がありまして。これは闘争心があふれるような楽曲になっているので、よかったら聴いていただきたいなと思います。

伊藤:ぜひ。

ドイツで感じた日本食の素晴らしさ

内田:食生活についてですが、やっぱりシーズン中は気を使いますか?

伊藤:シーズン中はアルコールは基本飲まないです。チームで食事が出るので、午前中に練習があれば朝クラブハウスに行って朝ご飯を食べて、練習して、ランチを食べて帰るという感じなので。もちろんアウェーに行ったらアウェーの会場でみんなで食事しますけど。日本に帰ってきたら、日本食ってやっぱり素晴らしいなと思います。

内田:そうなんですね。

伊藤:いまもちょっと寂しくなって……。(ドイツへの)帰りが近づいてきて寂しくなっている時期ではあるんです。やっぱり日本食の素晴らしさを感じながらも、ドイツに行ったらドイツに行ったで、現地のもので全然大丈夫だなという感覚はあります。

内田:クラブハウスでは専属のシェフの方が?

伊藤:そうですね。アウェーにもついてきてくれます。炭水化物はパスタ、パン、ポテトですね。

内田:そうなると確かに温かいご飯を食べたくなりますね。

伊藤:でも、奥さんが一緒にドイツに行ってくれているので、クラブで食べないときは基本的に家では日本食を食べさせてもらっています。

内田:食事のときのチームメイトとの会話の話題ってどんな感じですか?

伊藤:ワールドカップ前はやはり「どこが優勝する? どこが強い?」みたいな、予想しあっている会話が多かったなと思います。あとはスクリーンにサッカーの試合が流れてるので、それを観ながらみんなでいろいろ会話をする感じですかね。

内田:食事の時間もチームメイトと交流を深めているんですね。

オシャレをする機会が少ない

内田:ファッションで意識していることはありますか?

伊藤:極力シンプルにしています。

内田:サッカーをやっているとシンプルになりますよね。

伊藤:練習に行くときはもう、上下スウェットです。

内田:着替えやすい、移動しやすい。

伊藤:そうです。車に乗って練習に行くだけなので。オシャレはほぼ、何も気を使わないですね。なので、私服を着るのは週1回の休みぐらいです。オシャレをする機会が本当に少ない。日本に帰って来て、一応それなりにきれいにはしておこうかなという風には意識しています。

内田:伊藤選手は身長もあるので、日本で歩いていたらすぐに見つかるじゃないですか。そのときに「伊藤選手の私服があまり……」となったらちょっとあれですもんね。

伊藤:そうですね(笑)ちょっと寂しいので。

好物の寿司を食べるのがオフの楽しみ

内田:カフェがお好きだとお聞きしました。

伊藤:ヨーロッパに行ってからですけど、エスプレッソを飲むようになりました。ヨーロッパのコーヒーはやっぱりおいしいなって。どこのお店に行ってもおいしいなと思います。どこに行っても濃厚なエスプレッソが出てくるなという印象を持っています。

内田:基本的に練習後とか食事後にチームメイトとカフェしてみたいな習慣になっているんですか?

伊藤:そうですね。ご飯を食べて、そのままテーブルで。大体誰か早く食べ終わった人が「コーヒーいる人」って聞いて持って来てくれる流れですかね。あとは夏に野外で食事してカフェをするのが、ヨーロッパに行ったときの楽しみのひとつだなと思います。

内田:ドイツの夏の気温はどれくらいなんですか?

伊藤:いまはちょっと暑くなってきているみたいですけど、やっぱり湿気がそこまでないというのが過ごしやすい部分かなと。あと、21時とかになってもすごく明るいので、時間を忘れちゃうような。静かだし、風も涼しくて、外でのカフェは気持ちよかったです。

内田:素敵ですね。休みの日に「特別にこれをします」みたいな、リフレッシュ方法はありますか?

伊藤:基本的には日本食レストランに行きます。

内田:ドイツは多いと聞きます。

伊藤:僕たちのところは3店舗ぐらい日本人の方がやっているお店があって、お寿司を食べにそこのどこかに予約して行くというのが。本当においしく食べさせていただいています。

内田:ドイツでお寿司が食べられるのはいいですね。

伊藤:幸せですね。それがオフの楽しみのひとつです。

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