今回の経験を必ず活かして次はベスト8|サッカー日本代表 伊藤洋輝 インタビュー#2

「Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく特別インタビュー。今回は、ドイツ・ブンデスリーガの「VfBシュトゥットガルト」に所属し、『FIFA ワールドカップ カタール 2022』に日本代表として参戦した伊藤洋輝選手をゲストに迎える。インタビュアーを務めるのは自身も学生時代に10年間サッカーをプレイしていたボーイズグループ・学芸大青春の内田将綺。

サッカーをはじめたきっかけや選手としての武器などについて聞いたパート1に続き、今回は代表として初めて参加したワールドカップで感じたこと、思ったことを率直に語ってくれた。

伊藤選手が肌で感じたワールドカップ

内田:今回のワールドカップで体感したこと、強く感じたことを教えていただきたいです。

伊藤:独特な雰囲気がありましたね。やっぱりどのチームも「負ける」というのを一番避けたい状況で。トーナメントは負けたら終わりだし、リーグ戦も0ポイントというのがチームにとって一番痛いので、どっちのチームもリスクを冒さないし、ゲームの「固さ」があったと思います。特に前半の立ち上がりとかは、お互いに探り合うという状況があって、先制してからどんどんゲームが動くという展開が多かったですし、そこがほかのリーグ戦だったり、ほかの大会との空気の違いを一番感じた部分かなと思います。

内田:今回のグループリーグで言うと、ドイツ戦、コスタリカ戦、スペイン戦と、全試合で先制されてからの試合展開になっています。先制されるというのは、チーム全体としても厳しい試合運びになると思うのですが、そのなかでドイツ、スペインは逆転勝利しました。あのときのベンチワークとか、ハーフタイム中の話とか、どうやってチームとして息を吹き返そうと?

伊藤:先制されたときに、どこまでリスクを負っていくのかというところは、監督含めスタッフの方々が一番悩んだ部分だと思います。

内田:さらに得点を重ねられる可能性もありますしね。

伊藤:ただ、交代枠が5人あったというのは、カードを切りやすくなった部分かなと思います。

内田:森保監督から、「このゲームはこうやっていくよ」みたいなプランは選手たちに伝えられるものなんですか?

伊藤:試合前のミーティングで「こうやっていこう」というのはありますし、もし先制したら、もし失点したら、というところのプランも一応持ってゲームに入りますけど、やっぱり試合展開含めて、すべてがうまくいくわけではないので。(交代枠が増えたことで)ゲームの変わり方というのはより激しくなったかなと思います。

チームをまとめてくれたベテラン選手の言葉

内田:メンタリティとかバイタリティの部分で、今大会に参加した26人のなかで「この人はすごいな」と感じた選手はいますか?

伊藤:個性が強い選手たちが集まったときに、ワールドカップを複数回経験しているベテラン選手たちの発言だったり行動というのは、チームがどうまとまっていくかというところで、今回一番いい影響を与えたんじゃないかなと思いました。
意見を出し合いながらも、最後に「その試合に対してどう向かっていくか」というのがひとつになっていないと勝つのは厳しいので、負けたコスタリカ戦のあとに自分たちがどうやっていくのかを選手ミーティングしたときに、川島永嗣さんが自身の経験も含めてこれまでの経験だったり、熱い言葉をみんなにかけてくれて、よりチームがひとつになったというのは感じました。

内田:優勝候補だったスペイン・ドイツと同居するグループリーグを1位通過するのは快挙だと思います。はじまる前と今とでは、気持ちの変化はいかがですか?

伊藤:グループリーグが決まる抽選会のときに、ちょうどチームの移動のバスに乗っていて、みんなで抽選会を観ていたんですよ。

内田:それはすごい空気だな……。

伊藤:スペイン、ドイツと日本が同じグループに決まったときに、回りの選手が「いや、本当ごめんな」みたいな。

内田:(笑)

伊藤:そういう空気にはちょっとイラッとしながら(笑)ただ、僕たちは別に自分たちの力が劣っているという風には思ってなかったし。逆に結果が出て、ドイツに帰るのがすごく楽しみです(笑)

内田:ぜひ胸を張って帰っていただきたいです。

ベスト8に行くために必要なこととは?

内田:ワールドカップはベスト16という結果で幕を閉じました。率直に思うことを教えてもらってもいいでしょうか?

伊藤:やっぱり簡単じゃないなと思いましたね。クロアチアも全体での経験値の高さを感じました。この経験をどう次に活かすかというところが、ベスト8に行くために必要になってくることだと思います。もちろん、それぞれの選手が厳しいところに身を置いて選手としての成長、レベルアップするのももちろん大事ですけど、トーナメントの戦い方だったりは学べるものがあると思うので、それを次の大会で必ず活かしてベスト8に行きたいなと思っています。

内田:さらなるレベルアップという話がありましたが、伊藤選手自身もいまブンデスリーガのシュトゥットガルトでプレイされています。ブンデスリーガの別チームだったり、別のリーグのチームでプレイすることに興味はあるんですか?

伊藤:小さいころからイングランドのプレミアリーグが好きで目指していて、そこに行きたいなという思いがありながらも、ブンデスリーガはブンデスリーガで、FCバイエルン・ミュンヘンがチャンピオンに君臨し続けていますけど、ほかのチームの差がないというか、どこのチームも毎回いい試合をするというところがリーグの魅力のひとつかなと思っているので。いまのチームでチャンピオンズリーグというところは目指していきながらも、個人的には選手としてより成長できるところに身を置くという話です。

内田:では、いつかプレミアリーグの伊藤洋輝選手が見られるかも?

伊藤:頑張ります(笑)

次回パート3では、オフの過ごし方などプライベートなことについて深掘りしていく。

いまも成長途中だと思っています|サッカー日本代表 伊藤洋輝 インタビュー#1

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