「Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく特別インタビュー。今回は、ドイツ・ブンデスリーガの「VfBシュトゥットガルト」に所属し、『FIFA ワールドカップ カタール 2022』に日本代表として参戦した伊藤洋輝選手をゲストに迎える。
インタビュアーを務めるのは自身も学生時代に10年間サッカーをプレイしていたボーイズグループ・学芸大青春の内田将綺。W杯での激闘を終え、ドイツに戻る直前の伊藤選手に、ワールドカップで感じたことからパーソナルな部分まで話を聞いた。

ジュビロに行くのか、エスパルスに行くのか
内田:サッカーを始めたきっかけをお伺いしてもよろしいですか?
伊藤:父の転勤で浜松市に引っ越したときに、友だちが通っていたフットサルスクールが近所にありまして。そこで試しにやってみて、サッカーにハマりました。
内田:静岡はサッカー王国と言われるぐらいですもんね。僕はお隣の愛知県出身なので、(学生時代は)静岡には苦しめられました。
伊藤:そうですね。県外の方とお話すると、自分たちがどれだけサッカーに熱があるのかというのは感じます。
内田:強豪校が多かったり、清水エスパルスやジュビロ磐田といった名門クラブチームがあって、日本のサッカー文化を発展させた県なのかなと感じます。伊藤さんはジュビロ磐田に所属されていましたが、静岡出身ということでやっぱり「ジュビロに行くのか、エスパルスに行くのか」みたいなのはあるんですか?
伊藤:小学校のトレセンで各地域から集まってきたときに「どっちに行くか」という話にはなりますね。セレクションがあるので、合格するかどうかというところもあるんですが、やっぱり「どっちを受けたい」っていうのは、それぞれ話し合います。僕たちは磐田に近い浜松なのでそんなに迷わないけど、ほかの地域の選手たちは「どっちに行こうか」というところで迷うみたいです。
内田:なるほど。愛知県は名古屋グランパスエイトがメインなので、みんなそこを目指していくんです。自分の出身県にJクラブが2つあるというのは、ちょっと面白いですね。
伊藤:この2チームがぶつかる静岡ダービーは、Jリーグでも屈指の歴史を持つダービーだと思うので、中学のころからこの戦いは熱いゲームだったなと思います。ただ、実は僕の母親は清水の方の出身なんです。
内田:え!? じゃあ、お母様から「清水じゃないの?」ってオレンジ色を差し出されるみたいなことはなかったんですか?
伊藤:それはなかったですね。もしかしたら内心思っていたかもしれないですけど(笑)
サッカー選手としての地盤を固めてくれた

内田:幼少期にフットサルとサッカーの二刀流をやられていたとお聞きしましたが、それぞれから得たものはなんでしょう?
伊藤:5歳のときにフットサルを始めて、そこから小学4年生の終わるぐらいまではフットサルだけをやっていたんです。でも、やっぱり将来的にはサッカー選手になりたいので、中学からジュビロのジュニアユースに入るというところも含めて、小5からサッカーだけに転換したという感じです。フットサルはボールタッチ、ボールコントロールのところがすごく身についた部分かなと思います。
内田:フットサルとサッカーというと、特にボールの質が違うと思うんです。サッカーボールと違って、フットサルのボールは小さくて固くて跳ねない。その感覚の違いに困ったりすることはありましたか?
伊藤:そこは特になかったと思います。小学校のときは8人制のサッカーがメインだったので、(5人制の)フットサルが8人になったというのも、そこまで大きな変化ではないかなと思います。フットサルはボールに触る回数も多いですし、空中戦があまりないので、足元の技術を磨く部分に関してはやっていてよかったなと思います。
内田:なるほど、サッカー選手としての地盤が固まったというか。いまの日本代表を見ても後方の選手って、特に伊藤選手のように188センチという身長があって、キックも蹴れて、足元の技術もあってという選手は、なかなかいないんじゃないかなと思います。
伊藤:そうですね。トップの選手はすべての能力が高いというところがあるので、フィジカルが強いだけではトップに行けないし。でも、守備の選手なのでフィジカル面がなかったら評価されないところもあると思います。すべてのレベルを上げていかなきゃいけないというところは、いまも成長途中だと思っていますし、自分の武器としてはボールを持ったときの部分が評価されて試合に使ってもらえているので、フィジカルの部分はもっと高めないといけないと思っています。
伊藤選手が考える左利きのメリット
内田:シュトゥットガルトの試合を観ていると、前線、サイドチェンジ、縦パスって、伊藤選手の左足から一気に攻撃が展開されるシーンが多く見られると思います。その辺は前線の選手とコミュニケーションはとっているんですか?
伊藤:変わってしまいましたけど、ペッレグリーノ・マタラッツォ前監督が僕の左足のフィードだったりをチームの共通認識として持たせてくれた方だったので、そこは本当に、監督との出会いに恵まれたなという風に思います。
内田:フリーキックとかも、ほとんどご自身で蹴られていますよね。
伊藤:フリーキックって1試合で何本も蹴れるものではないじゃないですか。その1本のチャンスで決めきれる選手というのが、過去の代表を見ても中村俊輔選手、本田圭佑選手、遠藤保仁選手がいるので、そこはひとつ武器にしていってもいいんじゃないかなとは思っています。

内田:左利きでいうと堂安律選手、久保建英選手など、代表的な選手がいらっしゃると思います。左足からのチャンスメイクというのは、相手としてもやりづらいところがあるのかなと思うのですが、左利きのメリットはどうお考えでしょうか?
伊藤:僕は左のセンターバックでやることが多いので、右利きの選手とマッチアップするよりも、左利きの選手が右サイドに出たときのほうがやっぱり選択肢が(広がる)。なかに入られると対応が難しくなるし、左利きの独特なテンポだったりも、右利きの選手とは違う部分を感じるので、左利きの選手はその独特さというのがひとつの武器になるのかなと思います。
内田:ボールポゼッションが得意なスペインのパウ・トーレス選手も左利きのセンターバックだったりして、そういうところで、左利きのセンターバックというポジションがすごく注目されつつあると思います。
伊藤:そうですね。左利きのセンターバックは、特にヨーロッパで評価されていると思います。左利きのセンターバックというだけで、ひとつのブランディングがされている存在なので、そこの争奪戦というのはやっぱり起きます。
内田:なるほど。
伊藤:自分もそういう高い、もう一個ステップアップしたいという思いも持っているので。まだまだここから成長しながらやっていきたいなと思っています。
内田:ちょっと細かいところなんですが、フォーバックの左のセンターバックか、スリーバックの左かと言ったら、やりやすいとかはありますか?
伊藤:基本的にスリーバックの左がいままでの経験上、メインでやってきたポジションですね。ただ、チーム状況だったりゲームの展開だったりで4枚のセンターバックをやることも増えてきて。ドイツの強靭なストライカーたちと戦うときには、真ん中は2人で守らないといけなくて、フィジカルの重要性というのはより強く感じた部分でもあったので、そこはもっともっと改善していきたいなと思っています。
自分がどうなりたいかブレずに進んできた

内田:小学生の頃にブラジルのサントスFCに留学した経験があるという事で、サッカー大国のブラジルを見て、なにか感じたもの、得たものはありますか?
伊藤:あまり鮮明な記憶はないんですけど、本当に彼らは幼少期から競争をしているなという印象はあります。彼らは貧しいところからきていて、そういった環境に恵まれてない部分もあるので、ハングリー精神を身に染みて感じましたね。
内田:実際のブラジルでのプレイはどうでしたか?
伊藤:技術は日本の周りの選手たちよりも高いものを感じたし、ゲームでの厳しさとかは、ちょっと日本とは別のものを感じました。
内田:紅白戦やるにしても、削りあうとか?
伊藤:そうですね。小学校から削り合う、喧嘩するみたいな。
内田:小学校からですか。
伊藤:しっかり要求もするしっていう。生き残っていくためには何が必要かというのをそれぞれがわかっているというのは感じました。
内田:そこで培ったものが日本に戻って、競争とかにも活きてきたり?
伊藤:まあ、要求をしすぎて日本では……。
内田:浮いちゃうみたいな。
伊藤:浮いちゃうまではいかないんですけど、とにかく自分が結果を残してチームが勝てばいいっていうマインドだったから、やっぱりちょっと……。そういう経験は中学年代、高校年代でありましたけど、自分がどうなりたいかというところでブレずに進んできたのは、本当にいま、一番よかったなと思います。トップチームに上がってからは同年代の選手ばかりじゃないので、歳上の選手とのコミュニケーションは多少苦労した部分はありました。そういう自分を認めてくれる先輩もいれば、まあちょっと煙たがられるみたいなこともありましたけど、一緒にやってきながら、結果的には成長してここまで来れたというのは本当に感謝しています。

次回は代表として初めて参加したワールドカップで感じたこと、思ったことを率直について聞いていく。
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