子連れ狼と化した、命知らずのヤサグレ傭兵 クリヘムの“地獄の限界一人サバゲー”

映画の中において、理想の仕事といえば何だ!?

そりゃあアンタ、殺し屋!はぐれ刑事!傭兵!と相場が決まっているじゃない!

…という訳で、マイ〇ビやリク〇ートに間違っても記載されていない俺たちの見果てぬドリーム職業の一つーーー『傭兵』への憧れが更に増す映画が公開された。
それがNetflixで配信が始まった『タイラー・レイク-命の奪還-』だ!

Netflix Japan/YouTube

インドの麻薬王の息子を守るべく子連れ狼と化した傭兵クリス・ヘムズワース(以下クリヘム)。
そんな彼がバングラデシュの首都=ダッカを舞台に、インド人もビックリのタクティカル仕草で修羅場を乗り切っていくのが主なあらすじの本作。

まさに見渡す限り敵だらけな、地獄の限界一人サバゲーの様相を呈する。

MCUにおいて『みんなのカミナリ様』が板についたクリヘムだが、今回は打って変わって命知らずのヤサグレ傭兵。
寝起きで推定30mの崖から湖へ飛び込み、そのまま水中で瞑想するなど、ある意味でダイナミックさでは少しもカミナリ様に負けていない主人公タイラー・レイクを好演している。

本作ではナイフやハンドガンでの極限CQB(近接戦闘)、怒涛のM4カービン捌きなどミリオタ泣かせのムーヴを披露!思わず目を疑う模写を「これでもか!」と連発してくれる。

トンカチや斧、ましてや神様という属性が無くても神がかったスタントなのは確かだ。

更には襲ってくるもんはチビッコギャングだろうがなんだろうが鉄拳制裁を下すヤサグレっぷり。
この役へのクリヘムの並々ならぬ気合を感じる。

だが、腐っても鯛ならぬ、腐ってもクリヘムである。
のっけからヤサグレ具合が目立つタイラーであったが話が進むにつれ、かつて病を抱えた我が子の死に目に立ち会わずスルーしていた過去が明らかになる。
自爆覚悟で誰もやらんような危険な任務を受ける理由も、そこにあったのだ。
しかし麻薬王の息子を連れまわす内、思いのほかに物分かりの良い子だったのも手伝い、徐々に情が移っていくタイラー。
結果、ぶっきら棒な態度のまま、自分の利害を置いといてガキンチョを脱出させるべく命を懸けるタイラーなのであった。
この隠せないナイスガイぶり。

己がヤバい時ほど人間の価値が試されるもんだが、俺もこうありたいと思わせてくれる。
本作のヤサグレ傭兵タイラーの生き様から学ぶことは多い。

本作においてナイスガイはクリヘムだけではない。
強敵ポジションで途中参戦し、クリヘムとタマの取り合いを繰り広げるインド側の刺客サジュも見逃せない。
なるべく荒事に首を突っ込みたくないものの、やらなきゃ家族を殺られると脅され全力でクリヘム相手に全力で激闘を繰り広げるサジュ。
互いに譲れないものがありつつ一歩も引かない様は、どこかドン・フライと高山の殴り合いを思わせてくれる。

そして「半日以上俺から連絡が無ければ家を出ろ」と女房に贈るセリフが実に痺れる。

俺も生きている間に一度は言いたいセリフだ。
例え死亡フラグがビンビンに立つとしてもだ!いずれにせよ、こうした強敵にもドラマがあるのは見ている側として嬉しいもんです。

映画の中の近接戦闘といえば『ジョン・ウィック』や『ザ・レイド』でも描かれ見ているコチラのド肝を抜いたが、更にタクティカル方面に舵を振り切っているのが本作だ。
そこら辺のアクション映画インポも「え?これどうやって動いてるの!?」と前のめりになってしまうだろう。
そして、少しでも観賞中に気を抜いていると、カジュアルに人が車に轢かれるなど、一瞬も気が休まらない。
このように、ひと時も目が離せない緊張感と殺気が本作には溢れている。

サブタイトルが命の奪還とついているものの、むしろ主人公が敵の命を奪いまくってるわけだが、映画としては圧倒的に正しい姿勢だ。

話はシンプルかつストイックではあるが、その分明日から真似したくなるムーヴが盛りだくさんな作品である。
確実に俺が中学生の頃に見たら、昼休みや放課後にタクティカルトレーニングに励んで人生を誤っていただろう。
なんなら今からでもやりたい!たとえ周りがドン引きしても!
映画の見方は人それぞれあると思うが、話の整合性や高尚さは置いといて、ちょっとした仕草や動作、セリフをモノマネしたくなる要素も十分傑作基準になるのではなかろうかと改めて思わせてくれる。

いずれにせよ心の中に傭兵がいる人には必見の一本です。

文・DIEsuke(@eroerorocknroll)/ステイサムの悩み相談bot狂犬映画ライター・映画タッグ:ビーパワーハードボイルド

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