マイケル・B・ジョーダン主演&初監督 最新作『クリード 過去の逆襲』は“封印した過去の過ち”が描かれる

世界中を熱狂させた映画「ロッキー」シリーズのスピンオフとして登場するや、瞬く間に世代を超えて多くの観客を魅了することとなった『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)。その続編である『クリード 炎の宿敵』(2018年)も全米での興行収入が約2億1400万ドル(約292億円)という大成功を収めることとなったが、その熱狂も覚めやらぬ中で3月3日に公開を控えている『クリード 過去の逆襲(原題:Creed III)』の予告編が公開された。

もともと同シリーズは、『ロッキー』に登場するアポロ・クリードの息子、アドニス・クリードを主人公にした作品となっているが、原題の『Creed III』とは別につけられた邦題が『クリード 過去の逆襲』となっていることからもわかるようにクローズアップされるのは、マイケル・B・ジョーダン演じるアドニスの“過去”。公式発表によるとアドニスの少年期に起きた重大な過ちが描かれるのだという。

それだけでもシリーズのファンなら気になるが、「ロッキー」シリーズからロッキー・バルボアを演じ、前作までは出演していたシルヴェスター・スタローンが、今作では出演していないのが気になるところ。主人公・アドニスの父・アポロの親友にしてライバルでもあるロッキー役なのに、1作目となった『クリード』では、ゴールデングローブ賞の映画部門で助演男優賞まで受賞しているのにだ。

もしかすると、前作『クリード 炎の宿敵』が制作される際に、一度はスタローンが監督も務めると発表されていたのに、蓋を開けてみたら、なぜか若手のスティーヴン・ケイプル・ジュニアが大抜擢されるという、よもやの展開であったことが関係しているのかもしれない。スーパースターなだけに、「ランボー」関連のビジネス等で忙しいのかもしれないが、過去2作の「クリード」を含む一連の「ロッキー」シリーズで顔となっていたスタローン演じるロッキーなし状態で制作されているということは頭の片隅に入れておいたほうがよいだろう(※なお、作品のクレジットには「製作」という形でスタローンは名を連ねているので決裂ではなさそうだ)。今回はアドニス役のジョーダンが監督も兼任。はからずも彼の映画監督デビュー作品となっている。

さて、そんな“いろんな意味で気がかりな要素”がチラホラ垣間見られるこの『クリード 過去の逆襲』だが、さきほど少し触れたアドニスの過去の“重大な過ち”に絡む形で、今回はジョナサン・メジャース演じる幼馴染のダミアン“デイム”・アンダーソンが登場する。彼はアドニスの犯した過ちが原因で、長らく“クサい飯”を食わされてきたというが、そこから晴れてシャバへと舞い戻り、アドニスのジムを訪れるのだそうだ。

既に華々しい成功者となっているアドニスは、まるで生き別れになった兄弟とでも再会するような気持ちとなっているようだが、その実、ダミアンからするとアドニスは、まさに「自分の人生を奪ったクソ野郎」でしかない。なにせ彼にとっては、目の前にいるアドニスの掴んだ成功は、本来であれば自分が掴むべきものであったと思っているからだ。そもそも、“過去のやらかし”というものは、やった側はそうでなくとも、やられた側からすると石に刻むが如く、いつまでも忘れ得ぬ忌まわしい記憶となるもの。

それゆえ、傍目にはわからないものの、ダミアンは心の中で強烈な復讐心を抱いているようだ。ひねくれた視点から見ると、今回公開された予告編にしろ、現時点で公表されている公式情報にしろ、見れば見るほど、アドニスよりもダミアンに肩入れしたくなってしまう。それを抜きにして、ファイターとしての部分だけ見ても、表舞台で強くなったアドニスと、ドブネズミのように過酷な環境で牙を磨き続けてきたダミアンというのは、王道系の対決とはいえ、なかなか興味深いものがあると言えそうだ。

『クリード 過去の逆襲』は全米3月3日、日本では5月26日(金)の劇場公開を予定している。

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